ドイツの食材
食卓の名脇役

食卓酒としてのドイツビール 〜ドイツ料理とのハーモニー
『ビールにおつまみは不要』という人もいるかもしれませんが、ドイツの食卓ではビールと料理が絶妙のハーモニーを醸し出しています。ドイツには5,000種以上ものビールが存在し、それぞれが独特の飲みごし、香り、色を持っています。世界一バラエティ豊かなドイツビールは、食卓酒としてどんなシーンでもその味の世界を豊かにする名パートナーとなることでしょう。

ビールの味や香りは、スープ、肉や魚の料理、また野菜のメニューに、さらにはまたデザートのような甘いものや、ソース、マリネ、ドレッシングなどにも調和し、それぞれの料理をさらに引き立たせる役目を果たします。

ドイツの料理人たちは、長い時間をかけて、どのタイプのビールが自分たちの味の芸術に相応しいか、そしてその料理をいかに深めるか、研鑽を重ねてきました。長い歴史と伝統の上に培われたドイツのビールと料理の文化は、国内外の食通の間で高い評価を得ています。

「ビールと料理のハーモニー」と言っても、『どの料理に、どのビール』という、決まった規則があるわけではありませんし、その規則を作るべきでもないと考えられています。一番重要なことは、あくまでそのビールがうまく、その料理が美味しく感じられるか、そしてそれが心を豊かにしてくれるかどうかということです。

基本的なルールとしては、次の順番でビールを選ぶことをお薦めします。

(1) 味があっさりと軽く、さっぱりしているタイプ(例:アルコールフリービア、ライトビア、ヘレス、ラガー、ピルス、ケルシュ)
濃い味でコクのあるタイプ(例:エキスポート、メルツェン、フェストビア、ボック)
(2) 淡色系のビール
濃色系のビール
(3) 香りの控えめなタイプ
香りのしっかりしているタイプ
(4) 下面発酵ビール(例:ヘル、ラガー、ピルス、エキスポート、ケラービア)
上面発酵ビール(例:ヴァイツェン、ケルシュ、アルト)


コース料理の場合、料理の順番は一品ごとに段々とその味が深まるように設定されていますから、ビールの味も料理に合わせて徐々に深まっていくように選びます。薄味から濃い味へ、おだやかな味のタイプから麦芽のきいたタイプに、あるいは辛口で軽いビールから甘口のビールというように飲まれるのがよいでしょう。

それではそれぞれの料理に合うビールについてお話しましょう。一度お試しになってみてはいかがでしょうか?

食前酒:
食欲を誘うためにも軽い、薄味のビールが良いでしょう。ピルス、ラガー、ライト、あるいはアルコールフリー・ビアをお薦めします。ピルスにカンパリを少量入れたカクテルもお試しください。
アルトビア・パンチ
前菜・サラダ: 一般に食事のコースはマイルドなものからだんだんと味の強いものに組まれていますが、 ビールも全く同じです。前菜やサラダに調和するビールは軽くマイルドな味のビールです。ライト、アルコールフリー・ビア、ヴァイツェン・ヘル(淡色系)、ラガービア(淡色系)、ケルシュ等。
シチューや煮込み料理: ラガービア(濃色系)、ケルシュ、アルト、メルツェン、エキスポートがお薦めです。
魚料理: 蒸した魚、煮込んだ魚料理の場合、料理の味そのものがマイルドですから、やはりビールも軽いものを選んで、料理の味と調和させてください。ヴァイツェン・ヘル(淡色系)、ラガービア(淡色系)、エキスポート、アルコールフリー・ビア、ケルシュ等がよく合います。一方、ムニエルなど油を使って調理した魚料理には、ラガービア(濃色系)、ピルス、アルト、エキスポート、シュヴァルツビア等がお薦めです。
魚介類: ライト、ピルス、ヴァイツェン・ヘル(淡色系)、ケルシュ、エキスポート等をお試しください。
鶏料理:
鶏肉や七面鳥の肉のように淡白な味の料理にはビールも軽く、色も薄いものがよく調和します。一方、鴨肉の料理にはコクのあるビールをどうぞ。
チキンのビール焼とエキスポート
肉料理:
ビールと肉料理はすばらしく良く調和します。ステーキのように焼いた肉料理には味の濃い、麦芽の味がしっかりしているビールを選んで下さい。お薦めはラオホビアです。ピルス、ラガー・ドゥンケル、メルツェン、ヴァイツェン(濃色系)も合います。アルト、マルツビア、ボックビア(濃色系)、シュバルツビアもお試しください。
豚頚肉ステーキとアルトビア
ジビエ料理: 鹿、キジ、山鳩などのジビエ(狩猟による鳥獣肉)の肉はそれ自体がしっかりとした味を持っていますので、ビールもやはり同じように力強いボディーのものが良いでしょう。ボックビア、シュバルツビア、アルト、ヴァイツェン(濃色系)、エキスポート、ロッゲンビア、メルツェン等がお薦めです。
チーズ:
やはりマイルドなチーズには軽いビールを合わせて召し上がってください。マイルドなチーズにはヘレス、ヴァイツェン、エキスポート、ライト、アルコールフリー・ビア等、辛口や味のしっかりしたチーズには、ボック、ケルシュ、アルト、ピルス、ラガー・ドゥンケル、そしてヴァイツェン等をお薦めします。
チーズ各種
甘いデザート: 特に飲み口の良い、そしてモルトの味のしっかりしているビールが、甘いデザートにはよく合います。メルツェン、ボックあるいはドッペル・ボック、エキスポート、ヴァイツェン(濃色系)そしてアイス・ボック等です。
ピクルス
ドイツの食卓に欠かすことのできない名脇役がピクルス(酢漬け野菜)です。大小さまざまなキュウリ、白キャベツに赤キャベツ、にんじん、ピーマン、赤カブ(ビート)、カリフラワー、セロリ、ラッキョウ、カボチャなど、色とりどりの野菜が食卓を彩ります。ドイツ人はピクルスが大好きです。






ガーキンス(Gherkins)
ドイツのキュウリはパリッとして堅め。新鮮なキュウリにスパイスやシーズを加え、マイルドなビネガーに漬け込みます。

そのままかじってビールのおつまみに!みじん切りにしてソースやドレッシングにもどうぞ!ハンバーガーの上にのせれば大人の味に変身します。


コーニッション(Cornichons)
コーニッションとは、1kgで60本以上ある小さなキュウリ。若いうちに採取するため、ほとんど種がありません。スパイスのきいたコーニッションはビールのおつまみに最高!

どんな料理にもよく合う、食卓に欠かせない一品です。


ミックスピクルス(Sauer eingelegtes Gemüse)
コーニッション、赤ピーマン、カリフラワー、にんじん、ベビーオニオン、ベビーコーン。。。

カラフルでヘルシーな野菜のミックスピクルスは、クリスピーな美味しさのメドレーです。食卓を鮮やかに彩ります。


ザワークラウト(Sauerkraut)
真っ白できれいなドイツのキャベツは、コシのあるシャキシャキした歯ざわりが楽しめます。細かく刻んだ白キャベツを塩漬けにして自然発酵させたザワークラウトはドイツを代表するピクルスです。赤キャベツのザワークラウトは、特にクリスマスやイースターの食卓を演出するのに欠かせません。
ザワークラウトは、低脂肪・低カロリーのヘルシー食品
ザワークラウト(Sauerkraut:酸っぱいキャベツ)は、タタール遊牧民が作り出したと伝えられ、ビタミンCを含む保存食として広く知られるようになりました。壊血病を予防するために、長い航海の船にはレモンやジュースとともに、ザワークラウトが積み込まれたそうです。今ではドイツの国民食と言われるほど、ドイツ人の食卓に欠かせないものとなり、ドイツ人1人あたりのザワークラウトの年間消費量は約1.8キロといわれます。ドイツの街角ではパンにソーセージとザワークラウトをはさんだホットドッグやサンドイッチが売られています。ドイツばかりでなく、塩漬した牛肉と共にパンにはさんだものは「ルーベンサンド」と呼ばれ、ニューヨークの名物料理の一つになっています。

ドイツにおけるザワークラウトの製法は、産地やメーカー、また各家庭によっても若干異なりますが、基本的には新鮮な白キャベツを繊切りにして刻み、香辛料とともに塩漬けにして自然発酵させたアルカリ性食品です。日本語では「酢漬けキャベツ」と訳されることも多いのですが、この酸味は乳酸発酵によるもので、酢に漬けているわけではありません。ドイツのザワークラウトは塩を揉みこんで自然発酵させた発酵食品なのです。

香辛料にはディルシード、キャラウェイシードなどがよく使われ、ザワークラウトの爽やかさが生まれます。白ワインを加えて漬け込まれることも多く、一旦水洗いして塩ぬきをした後、白ワインに漬け込むこともあります。さらにはジュニパー、クローブ、ペッパーコーンなど多彩な香辛料や、ビール、りんご、オニオンなどを加えると風味豊かなザワークラウトができあがります。本場ドイツのザワークラウトはキャベツの甘みと特有の酸っぱさが絶妙なハーモニーを醸し出し、コシのあるシャキシャキとした歯ざわりが楽しめます。また、煮込んでもシャキシャキとした歯ざわりを保ち、ハム、ソーセージ、肉料理の付け合わせに最適です。軽く油で炒めたり、スープ(Suppe、ズッペ)などの煮込み料理の材料としても用いられます。

10月のレシピ 「ソーセージ(ブラートヴュルストヒェン)のベーコンポテトサラダ・ザワークラウト添え

ザワークラウトという名前は知っていても、低カロリーでヘルシーな自然食品としての実力をご存知の方は少ないのではないでしょうか?そもそもキャベツは葉2枚にレモン2/3個分のビタミンCを含むほか、ビタミンA、チアミン、リボフラビン、カリウム、植物繊維を豊富に含みます。また、野菜のなかでビタミンKを最も多く含む(100グラム中800ug)ことも特徴的です。ビタミンUは胃や十二指腸の潰瘍を治す働きがあり、日本でもビタミンUを主成分とする胃腸薬が市販されています。1/2カップのザワークラウト(水分を含んだ状態)は、4グラムの食物繊維、1日の標準摂取量の25%のビタミンCを含みながら、わずか19カロリー、脂肪分ゼロです!キャベツをたくさん食べるのは難しくても、ザワークラウトならどんどん食べられそうです。

最近はドイツ以外の国々でも、低脂肪・低カロリーのヘルシーな食品としてザワークラウトに対する注目が集まっています。ソーセージや肉料理の付け合せとしてだけでなく、サラダに加えたり、ピザのトッピングにも使われ、ザワークラウトを食べた後の缶に残った水分をテンダライザー(肉を柔らかくする)として使われます。さらにはデザートとしてザワークラウトを使用したシャーベットやケーキ(例:チョコレート・ザワークラウト・ケーキ)も登場しています。

マスタード
マスタードは、燻製や塩漬けの肉料理やソーセージに欠かすことのできないパートナーです。ドイツのマスタードは辛味や香りのバラエティが豊かで、料理を魅力的に仕立て上げます。

マスタード(Senf)
ビネガー、塩、スパイス、砂糖を合わせて作られるドイツのマスタードは、豊かな香りを楽しめます。

スイートマスタード(Süsser Senf)
ドイツ独特のスイートマスタード。強い辛さは苦手な人にも、やさしい辛味のあるドレッシングとして人気です。

ホースラデッィシュ(Meerrettich)
ローストビーフの付け合せとして知られるホースラディッシュ。実はカリカリに揚げた魚や、冷たいハムなどにもよく合います。


日本にも、瓶詰や缶詰のピクルス、ザワークラウト、マスタードが輸入されています。是非お試しください。
参照