ドイツの食材
ドイツ・サッカーロード「食の旅」

ドイツ・サッカーロード「食の旅」
日一日とワールドカップ・ドイツ大会の開催日が近づき残すところ後4週間程となりました。またドイツ各開催地でも着々とその準備が整われてきたというニュースも多く聞かれるようになりました。サッカーファンにとっては本当にその日が待ち遠しいことです。

さて、前回はライン川流域の2つの州をご案内いたしましたので、今回はさらに駒を北へ進めて「ニーダーザクセン州」と「ブレーメン州」そしてドイツ最北の州「シュレースヴィヒ・ホルシュタイン州」に皆様をご案内いたします。ニーダーザクセン州のハノーファーのスタジアムでは日本チームの属するグループFの試合は行われませんが、ドイツチームの属するグループAのコスタリカ対ポーランド戦をはじめ、その他のグループ戦が開催されます。

それでは2006年ワールドカップ・ドイツ大会「サッカーロード・食の旅」北ドイツ編へ出発いたしましょう。

ニーダーザクセン州とブレーメン州
ニーダーザクセン州

ドイツ16州の中でバイエルン州に次いで2番目の広さ(約47,620km2)を持つニーダーザクセン州は、その北西部を北海を臨み、南東部をドイツ中央部を南北に連なるハルツ山脈にまで広げています。州の人口は2006年1月現在で約800万人(ドイツ全州で第4位)、州の産業、経済の中心となる州都ハノーファーは州内では最も多い約50万人の人口を有しています。また日本でもお馴染みの「魔法の笛吹きがネズミを退治する」民話の町Hameln/ハメルンは、このハノーファー市から西南に40kmほどのところにあります。

2004年末までニーダーザクセン州はリューネブルク、ヴェーザー・エムス、ハノーファーそしてブラウンシュヴァイクの4つの行政地域に分けられていましたが、2005年よりこの区分は廃止され、現在では38の郡と郡には属さない8つの市に分けられています。

ニーダーザクセン州の食文化は幾つもの顔を持ち、それはこの土地の特徴をよく表しているものと言えます。北部地域は低地で北海に浮かぶ7つの小さい島も含めてOstfriesland・オストフリースラントと呼ばれ、昔から海辺の保養地として、親しまれてきました。また早くからオランダと英国の「紅茶」文化の影響を受け、現在でもドイツのどの地域よりも多くお茶が飲まれています。オストフリースラントの南側からAmmerland / アマーラント地方にかけては、酪農・牧畜の盛んな一帯となっており、乳製品のスペシャリティーを数々楽しむことができます。またリューネブルクから西南一帯、Lüneburger Heide/ リューネブルガー・ハイデには荒涼とした土地が広がりこの一帯は自然保護地域に指定されています。

Heide / ハイデとはかん木などの生えた荒地のことを、また植物の「エリカ」をも意味し、ここリューネブルガー・ハイデでは夏になると見渡す限りエリカ(英名:ヒース)の大海が広がります。

ハンブルク州との州境近辺はAltes Land / アルテスラントと呼ばれる地域で、約14,300ヘクタールにおよぶ果樹園が広がり、リンゴ、チェリー、西洋梨、プラム等が栽培されています。リンゴの栽培はそのうち約77%を占めています。

その他にもニーダーザクセン州ではいろいろな農作物が生産されており、ドイツで季節の野菜として最も人気のあるホワイト・アスパラガスの収穫高は2005年度で約2.2万トンで、これはドイツ国内総生産量の1/4量を州内で生産したことになります。(統計出典:ドイツ連邦統計局) リューネブルガー・ハイデの南部からブラウンシュヴァイクにかけてがホワイト・アスパラガスの一大生産地となっています。








ブレーメン州

地図でもおわかりのようにブレーメン州はニーダーザクセン州の一部かと見間違えるくらいニーダーザクセン州の中に入り込んでいる州です。

ヴェーザー川が北海に注ぎ込む河口から64km程さかのぼった地点にある河港がブレーメンで、ハンブルクに次ぐドイツ第二の港町です。10世紀に開けたこのドイツ最古の貿易港の町ブレーメンは1358年にハンザ同盟に加わり、Freie Hansestadt Bremen / フライエ・ハンゼシュタット・ブレーメン(自由ハンザ都市ブレーメン)として、都市でありながらドイツの一州を形成しています。

このブレーメンから約55kmほど下流のBremerhaven / ブレーマー・ハーフェンの港町もこのブレーメン州に属しています。

ブレーメン州の面積は約400km2、またその人口は約66万人(2004年12月現) でドイツ16州の中では面積、人口ともに最小の州となっています。河港の町として、そのスペシャリティーには魚介類を使ったものが多いのが特徴ですが、貿易港であることから、昔から海外の食品・食材が多く荷揚げされてきました。特にコーヒー豆はブレーメンにコーヒー文化をもたらし、文献によると1673年、ドイツ語圏の都市のどこよりも早くブレーメンに ” Cafés ” (カフェ=コーヒー店)がオープンしたとされています。

Getränke -飲料-
Bier / ビール

ニーダーザクセン州とブレーメン州を合わせて50以上のビール製造所があり、年間120万キロリッター以上のビールが醸造されています。ニーダーザクセン州南部の町アインベック生まれのビールがBockbier / ボックビアです。このビールの歴史は古く中世にまでさかのぼることができ、上流階級の人々の嗜好品として醸造されていました。また当時このビールはイタリアまでにも輸出されていたと言われています。そしてその後アインベック出身のビール醸造マイスターたちが、各地でボックビアを醸造するようになりドイツ全土へ広がっていきました。

Fleischwaren -食肉加工品-
Ammerländer Schinken / アマーラント産シンケン

これはニーダーザクセン州北西部に位置するアマーラント地方特産の燻製、もしくはエアードライされた生ハムです。昔は台所にある炉やかまどの上部天井から肉をぶら下げて燻製にし、自家用のために作られていましたが18世紀に入り、商業生産されるようになりました。長期保存の効く食糧として、特に近郊の港町で海運・漁業関係者に好まれるようになり、その後ドイツ国内各地へと広くその愛好者を増やしていきました。

このアマーラント産シンケンはEUの地理的表示保護制度に認定されている食品です。

Mett / メット、Mettwurst / メットヴルスト、Mettbrötchen / メット・ブロートヒェン

Mett / メットとは生の豚挽き肉の極めて新鮮なものに塩、胡椒その他のスパイスを混ぜ合わせたもので、そのままパンに塗って食します。パンにメットを塗ったものをMettbrötchen/ メット・ブロートヒェンと呼んでいます。

このメットにしっかりとスパイスをきかせ、腸詰めにして、燻煙をかけたものがMettwurst / メットヴルストで、北ドイツではグリューンコール料理に欠かせない名物食材です。またさらに保存がきくように燻煙加工、あるいは加熱加工等されたものに、パン用のペーストStreichmettwurst / シュトライヒ・メットヴルストがあります。これは多くの場合人工のケーシングに詰められています(ケーシングは食べません)。このシュトライヒ・メットヴルストはLeberwurst / レバー・ヴルスト(レバーペースト)と並んで、ドイツではどこでも好んで食される「パンの友」の一つとなっています。世界各地でドイツ本場の味が楽しめるよう、瓶・缶詰めされたメットのペーストもあります。軽い塩味がきいて、肉本来の味を楽しむメットヴルストは、肉好きにはたまらない一品です。

Gemüse -野菜-
Grünkohl / グリューンコール

グリューンコールは「グリーン(Grün) キャベツ(Kohl)」 と言う意味で、日本では「ケール」(英)と呼ばれています。文字通りキャベツと同じ仲間の野菜ですが、葉はキャベツのように巻かず、縮れています。因みに日本の冬に登場する葉牡丹、これは観賞用に品種改良されていますが、これもグリューンコールと同じアブラナ科の植物です。なお、ブレーメンとブラウンシュヴァイク近郊ではこのグリューンコールをBraunkohl / ブラウンコール(茶色のキャベツ)と呼んでいます。「緑色」ではなく「茶色」というのもおもしろいことです。

2004年度 グリューンコールの生産量
単位:1000t
ニーダーザクセン州 4.4
ノルトライン・ヴェストファーレン州 12.5
シュレースヴィヒ・ホルシュタイン州 1.1
ザクセン・アンハルト州 0.7
ヘッセン州 0.4
バイエルン州 -
バーデン・ヴュルテンベルク州 -
ドイツ全国 21.1
ドイツ統計出典:ドイツ連邦統計局

ニーダーザクセン州にはこのグリューンコールをおいて代表的な野菜はないと言ってもよいでしょう。上記統計表が示すようにこのグリューンコールは北ドイツの特産物です。冬、初めて霜が降りた後のものが最も美味しいとされ、霜を待って収穫されます。また、調理の仕方も北ドイツ一帯だけでも地域、地方、さらには町、村によって様々なものがあります。

一般的な調理方法は、まずグリューンコールの茎、芯を取り除き葉の部分を良く水洗いします。これを鍋に入れたたっぷりの湯で数分間湯がき、取り出して粗みじん切りにします。玉ネギはざく切り、ベーコンは角切りにしておきます。鍋に油を熱し、まず玉ネギ、ベーコンを炒め、先のグリューンコールを加えます。そこへスープストック、塩、胡椒を入れ中火で1時間~1時間半煮こみ味を調えて出来上がりです。地域によって使う肉類は変わってきますが、一般的にはメットヴルスト、カスラー、豚バラ肉等を途中から鍋に加え、グリューンコールと一緒に煮上げます。茹でたジャガイモを付け合せに、最も相性の良いお酒コルン(シュナップス)を飲みながら食します。お腹の中から温まる北ドイツ冬の一品です。

Kohl und Pinkel / コール・ウント・ピンケル

これもやはりグリューンコール料理ですが、ブレーメン近郊とオルデンブルク、オストフリースラント地方のスペシャリティーです。メット・ヴルストの変わりにPinkelwurst / ピンケル・ヴルストを使います。ピンケル・ヴルストはベーコン、豚脂、牛脂、玉ネギのみじん切り、穀物のひき割りにしたもの、スパイス等を牛腸へ詰め燻製をしたものです。これをグリューンコ−ルの煮あがる30分程前に鍋に加え、一緒に煮てコール・ウント・ピンケルの出来上がりです。

Obst -果実-
Apfel / アプフェル(リンゴ)

リンゴはドイツで最もポピュラーで一番良く食べられている果物です。2005年度のニーダーザクセン州におけるリンゴの収穫高はバーデン・ヴュルテンベルク州についで第二位・約22万トンでドイツ全体の収穫高の約1/4にのぼります。ニーダーザクセン州で最も多く収穫される品種は、Elster / エルスター種で、これはドイツ国内でも一番作付面積の多いリンゴの種類です。そしてついでJonagored / ジョナゴレッド、その次に日本でも知られているJonagold / ジョナゴールドです。エルスター種は「ゴールデン・デリシャス種」と「イングリット・マリー種」を交配品種改良して作られたもので、軽く酸味がきいたジューシーで歯ごたえのあるリンゴです。

ボスコープ
エルスター
ゴールデンデリシャス
ジョナゴールド
Käse -チーズ-
Harzer Käse / ハルツァー・ケーゼ

ニーダーザクセン州と南東隣のザクセン・アンハルト州にまたがるハルツ山脈のハルツ地方出身のチーズがHarzer Käse / ハルツァー・ケーゼです。典型的なドイツ産チーズであるザウアーミルヒケーゼ(クワルクチーズ)の仲間に入る、低脂肪のフレッシュチーズのスペシャリティーです。手作りで作られることからHandkäse / ハントケーゼとも呼ばれる小ぶりのチーズです。黄金色から赤褐色の表皮に覆われ、組織は滑らかで味はやや刺激のあるものから、ピリっとした辛味のあるものまでいろいろあります。また、プレーンのものの他に、キャラウェイシードをまぶして香付けしたものもあります。

ニーダーザクセン州はバイエルン州に次ぐ酪農の盛んな州で、ドイツ国内でのチーズ製品の約20%を生産しています。(統計出典:ニーダーザクセン州統計局) 特に州北部のアマーラント地方は北海の近くに位置し、一年を通し気候も穏やかで、工業都市からも離れていることもあり、自然がそのままの姿をとどめ酪農に理想的な形を提供しています。この地方ではSchnittkäse / シュニットケ−ゼ(セミハードチーズ)の製造が盛んで、ヴァリエーション豊富なセミハードチーズがドイツ全国のチーズ愛好者に喜ばれています。

シュレースヴィヒ・ホルシュタイン州
ドイツ最北の州シュレースヴィヒ・ホルシュタイン州は人口およそ280万人(2005年6月現)で、面積は約15,800km2(ドイツ16州で第12位)となっています。土地は低地で平原が続き、西側は幾つもの島からなるハリゲン諸島、そしてドイツ最北の島ズュルトがある北海に臨み、また東側はドイツ語でOstsee / オスト・ゼー(東海)と呼ばれるバルト海に面しています。2つの海を持つ州がここシュレースヴィヒ・ホルシュタイン州なのです。そしてさらに北は隣国デンマークと国境を接しています。

州都はバルト海に面した都市Kiel / キール(人口:約23万人、2005年6月現)で、ここキールから反対側の北海までの間をNord-Ostsee-Kanal / ノルト・オストゼー・カナール(キール運河)が通っています。その距離 98kmを年間約4万隻以上の船が航行しており、キール運河はバルト海と北海を結ぶ重要な航路としての役割を担っています。

白黒の乳牛「ホルスタイン種」(ドイツ語でHolstein / ホルシュタイン)、日本のみならず世界各地でお馴染みの牛ですが、この牛が誕生したのがこの地方です。このシュレースヴィヒ・ホルシュタイン州の食文化は畜産、海産そして農産物を基本に、これらを上手に組み合わせたものが、バラエティー豊かに培われてきました。

Fisch -魚-
シュレースヴィヒ・ホルシュタイン州の西側北海と東側バルト海の両海岸沿いの地域にはいろいろな魚介類が水揚げされ、市場をにぎあわせています。主なものにHering / ヘリング(ニシン)、Scholle / ショッレ(カレイ)、Seezunge / ゼーツンゲ(舌平目)、Dorsch / ドルシュ(鱈)、Makrele / マクレレ(鯖)、Stöcker / シュトッカー (鯵)、Seehase / ゼーハーゼ(ホウボウの一種)、Rotbarbe / ロートバルベ(赤目魚)等があり、またKrabbe / クラッベ(シバエビ)やHummer / フマー(オマールエビ)、Auster / アウスター(牡蠣)、Miesmuschel / ミースムーシェル(ムール貝)等々日本でもお馴染みの貝類などもあります。そしてこれら種類豊富な魚介はそれぞれの地方のキャラクターをもって、様々な魚介料理へと姿を変え、食卓へ並べられます。このシュレースヴィヒ・ホルシュタイン州のみならず北ドイツの海沿いの地方でも同様ですが、生の魚を調理するのをはじめとして、その生臭さを消すため、また日持ちがするように、多くの魚を燻製や酢漬けに加工して食します。そしてそれらの魚は、ドイツ国内津々浦々へ運ばれ、バラエティーに富んだドイツ人の食生活を演出しています。

Kieler Sprotte / キーラ−・シュプロッテ

シュプロッテとは20cmもない小さいニシンのことで、キーラー・シュプロッテとはキール産のスモークニシンのことを言います。このキール特産品には特に10cm前後の小さいニシンが使われますが、時にはニシンの若魚が使われることもあります。

このキーラー・シュプロッテはキール湾で捕れた小ニシンを以前はAltonaer Ofen / アルトナー・オーフェンと呼ばれる燻煙釜でブナやはんの木のチップで燻製にして作られていましたが、現在では近代的な燻製釜が使われています。また北海で捕られたニシンが加工されることもありますが、正真正銘キール産と称されるのは、もちろん今でもキール湾で捕れたシュプロッテにだけつけられています。頭から尾まで黄金色に燻製された小ニシンは、油紙を敷いた木箱にきれいに並べ入れられ、店頭に上ります。ジューシーで油ののったニシン本来の味と、スモークの香りが口の中で混ざり合い、キーラー・シュプロッテは、美食家をうならせる一品です。

Fleischwaren -食肉加工品-
Holsteiner Katenschinken / ホルスタイン産カーテンシンケン

これはホルシュタイン地方の伝統ある燻製された生ハムのことです。Kate / カーテとは「小屋」のことを意味しており、肉をその天井からぶらさげて作ったことに由来しています。当時はそこに住民が生活をしており、天井の梁からぶら下げられた塩漬の肉は、かまどから立ち上がる煙で、時間をかけて燻されハムとなりました。現在では工場生産されているカーテンシンケンですが、その伝統ある製法は受け継がれています。マイルドで柔らかいカーテンシンケンはホルシュタイン地方のみならずドイツ全国にたくさんの愛好者を持つドイツ産生ハムです。



Kassler / カスラー(Kasseler / カッセラー)

カスラーは塩漬けにして、軽くスモークされた豚肉のことです。今日では個人の家庭で生肉から作ることはまずなく、肉屋あるいはスーパーなどで販売されており、作る料理に応じて固まりや切り身で買ってきます。このカスラーには豚のロース身が使われることが一般的ですが、首肉、肩肉、その他の部位もカスラーに加工されます。固まりのものをそのままオーブンに入れて焼いたり、茹でたり、煮込み料理に使ったり、あるいは切り身をフライパンで焼いて食したりと、その食べ方は多種多様です。

ほどよく塩味のきいた、そしてスモークのほのかな香が口の中に広がる北ドイツ地方のスペシャリティ−です。ドイツ全国で好んで食べらるカスラーですが、特に北ドイツ地方ではグリューンコール料理に欠かせない一品としてその地位を誇示しています。

なお、「カスラー」の名前は1922年に食肉マイスターCassler氏によって作られたことに由来しています。

Kartoffeln -ジャガイモ-
Bratkartoffeln / ブラート・カルトッフェルン

ドイツに数あるジャガイモ料理の中で好んで食べられるものにブラート・カルトッフェルン(ベイクド・ポテト)があります。特に北ドイツでは食卓に上る回数が多い料理の一つです。肉料理の付け合せとして、あるいはこれをメインにして、目玉焼きを添えて食べたりもします。またグリューンコール料理の付け合せにすることもあります。作り方はまずジャガイモを皮ごと茹でます。そして茹で上がったら皮をむき冷まし輪切りにします。油をフライパンに溶かし、みじん切りの玉ネギとベーコンの角切りをまず炒め取り出します。次にまた油をフライパンに入れジャガイモを中火で炒めます。塩、胡椒で味を調え、先の玉ネギとベーコンを加え、炒めて出来上がりです。このブラート・カルトッフェルンのバリエーションは実に豊富でベーコンの変わりにハムを使ったり、あるいは豚肉を使ったりもします。またスパイスを効かして、キャラウェイシードあるいはマジョラム、またはパプリカを加えることもあります。ブラート・カルトッフェルンはドイツの「家庭の味」そして「母の味」として誰からも愛される家庭料理です。

因みにドイツ国内での一人当たりのジャガイモの年間消費量は昨年2005年度で66.5kgでした。日本人一人当たりのお米の年間消費量が約59kg(統計出典:農林水産省)でしたので、やや多めにドイツ人はジャガイモを食べているといったところでしょうか。しかしドイツでもジャガイモの年間消費量は年々減少しており、1970年にはドイツ人一人当たり102kgを消費していましたが、1980年には80.5kg、2000年度は70kgに減少しました。(統計出典:ZMP)

Käse -チーズ-
シュレースヴィヒ・ホルシュタイン州は漁業だけでなく酪農も盛んな州で、昔からいろいろな種類のチーズが生産されています。特にオランダからの移民が伝えたセミハードチーズのゴーダやエダム、さらにはドイツ特有のセミハードチーズである、ティルジッターなど数多くのチーズスペシャリティーがあります。

Wilstermarschkäse / ヴィルスターマルシュケーゼ

Wilstermarschkäse / ヴィルスターマルシュケーゼは淡黄色の組織に不揃いの小さな気孔があいた、Schnittkäse / セミハードチーズです。シュレースヴィヒ・ホルシュタイン州南部のエルベ川北側とキール運河南側にひろがるMarsch / マルシュ(沼地)地方で作られる伝統あるスペシャリティーです。その味は軽いピリっとした刺激と酸味が特徴です。

Süßigkeit・Nachtisch -菓子・デザート-
Lübecker Marzipan / リューベック産マジパン

マジパンはアーモンドと砂糖を練り合わせて作ったお菓子のスペシャリティーで、ケーキやチョコレートのフィリング用のもの、また動物や野菜その他、いろいろな形に作り上げるものなど、用途に応じて作られています。マジパンは現在ではドイツ各地で製造されていますが、世界的に有名なものはシュレースヴィヒ・ホルシュタイン州東南リューベック市で作られるマジパンで、このリューベック産マジパンはEUの地理的表示保護制度に認定されています。

Rote Grütze / ローテ・グリュツェ

ローテ(赤い)・グリュツェは赤系の果物を使って作られる、北ドイツの代表的なデザートです。そのまま、あるいはミルクもしくは軽く泡立てた生クリーム、またはバニラソースをかけて食されるスペシャリティーです。一般的な作り方をここでご紹介してみましょう。まず材料はお好みのベリー類を揃えてください。一般的にはイチゴ、ラズベリー、黒カシス、赤カシス、サワー・チェリーなどです。それぞれ100g、種は抜いておきます。絞りたてのオレンジジュース:200〜250ml、砂糖:150g〜、片栗粉:大さじ2杯です。作り方:大きめな鍋に全体量の2/3のベリー類と砂糖を入れ弱火にして良く煮ます。これをフキンを敷いた漉し器あるいはザルにあけ、漉します。この時フキンに残った果実のエキスもなるべくたくさん漉されるように木杓子などでこそぎます。これを鍋にいれ、オレンジジュースを加えさらに煮ます。煮立ってきたら水溶き片栗粉でとろみをつけ、残り1/3の果実を加え少々煮込み出来上がりです。家庭で庭に実ったベリー類を使い、「家の味」が楽しまれるローテ・グリュツェですが、現在ではいくつもの食品メーカーが製造販売しており、瓶詰のローテ・グリュツェを簡単に楽しめるようにもなりました。口の中で甘酸っぱいフルーツがクリームと混ざり合う味は、さわやかさと濃厚さのハーモニーをかもし出します。のどごしの良い美味しい北ドイツ地方のスペシャリティーです。

次の旅へ出発
さてご案内してまいりましたように、北ドイツ一帯だけがドイツでは唯一海に臨む場所です。よって活気ある港町や海の観光地は一年中いつも人気があり、特に夏には砂浜が日光浴や海水浴を楽しむ人たちでにぎやかになります。もちろん「海」を楽しむだけでなく、同時に地元の名物料理をお腹いっぱい堪能することもできます。

ドイツ料理」のコーナーで、北ドイツ地方の料理を2品ご紹介しておりますので、ぜひお試しください。

今回ご案内できませんでした北ドイツの玄関ハンブルク州、そしてさらに南東へ進みブランデンブルク州、ベルリンに次回はご案内する予定でおります。気候もだんだんと良くなってまいりましたので、日光浴をなさりながら、お楽しみにお待ちください。なお、くれぐれも列車の時間だけはお忘れにならないようご注意ください。

写真提供: Tourismus-Agentur Schleswig-Holstein GmbH

参照