ドイツの食材
ドイツ・サッカーロード「食の旅」

ドイツ・サッカーロード「食の旅」
世界中に興奮を呼んだワールドカップ・ドイツ大会が感動の余韻を残し閉幕しました。精魂こめて力いっぱい戦う選手の情熱に心打たれ、また彼等の華麗なるテクニックに魅了された1ヶ月でした。

さて、このワールドカップ・ドイツ大会を機会にドイツのおいしい味をさがして試合開催都市を中心にドイツの州をめぐってまいりました。バイエルン州を出発し、ライン川沿いの州をご紹介、そしてさらに北へ進みドイツ最北の州、そして前回は首都ベルリンまでご案内いたしました。ワールドカップ・ドイツ大会も終了し、この「食の旅」も、いよいよ終盤となりましたが、皆様にはもう少々お付き合いをいただいて、数多くあるドイツのおいしい味を、一つでも多くご紹介できますよう今しばらく「食の旅」を進めてまいります。

今回はドイツ中部に位置し、旧東ドイツ地域であったテューリンゲン州とザクセン州をご案内いたします。
それでは「サッカーロード・食の旅」ドイツ中部編へ、出発いたしましょう。

写真提供 : Tourismusverband Saechsische Schweiz e.V.

Thüringen - テューリンゲン州 -
ドイツ16州の中で11番目の広さ(16,172km2)を持つテューリンゲン州は、人口約235万人(2004年末:ドイツ16州中12位)を有しています。テューリンゲン州は17の郡と郡に属さない6つの市に分けられており、州都は州の中央に位置するエアフルト(人口約20万人)で、州内では一番の都市であると同時に州の政治・経済の中心となっています。(統計出典:ドイツ連邦統計局)テューリンゲン州は、地図からもおわかりのようにドイツのほぼ中央に位置し、その自然が美しいことから「das grüne Herz Deutschlands / ドイツの緑の心臓」とも呼ばれています。テューリンゲン州南部一帯およそ130kmにも続く「テューリンゲンの森」はその自然の美しさで昔から人々を魅了しつづけ、ハイキングあるいはトレッキングの森としてドイツ国内のみならずヨーロッパで広く知られ親しまれています。州都エアフルトから東に20kmほどの所にあるWeimar / ワイマールの町は、18、19世紀にドイツ文化の中心的役割を担った「文の都」です。ゲーテやシラーなどの文豪・詩人が住み活躍した町として広く知られています。また「ワイマール憲法」が公布されたのもこの町でした。1685年大音楽家バッハが生まれたEisenach / アイゼナッハは、エアフルトから西へ75kmほど行ったところにあります。なおバッハが1750年に没したのは、この後に続いてご案内するザクセン州のライプツィヒでした。

テューリンゲン州やザクセン州などのドイツ中部の地域の食文化の特徴は、ビールの消費量が多く、さらにカロリーの高い料理が好んで食されていることにあります。淡水魚、特に鱒や鯉の料理もありますが、やはりボリュームのある肉料理が主流の土地柄です。よって肉料理の種類の多さには定評があります。そしてここテューリンゲン州の名物料理には種類豊富なKuchen / クーヘンをはじめ、Klöße / クローセ や Rostbratwurst / ローストブラートヴルストなどがあり、美しい自然と並んでテューリンゲン地方を代表しています。

Getränke -飲料-
Bier / ビール

ここテューリンゲン出身のビールにSchwarzbier / シュヴァルツビア(黒ビール)があります。この下面醗酵のビールはこくのある味わいで、肉料理と愛称のよいビールです。シュヴァルツビアは1543年頃よりテューリンゲンで醸造されていたとのことで、現在ではドイツ国内はもちろん、世界各国に多くの愛好家をもつドイツビールのスペシャリティーです。

ここテューリンゲン州における2004年度のビール醸造量は約41万キロリッターで43のビール醸造所で醸造されました。(統計出典:Deutscher Brauer-Bund e.V. ) またドイツ国内でのビール年間消費量は一人当たり約116リットル(2004年度)ですが、ここテューリンゲン州のみでは一人当たりの年間消費量は150リットル近くにもなると言われています。

Fleischwaren -食肉加工品-
Thüringer Rostbratwurst / テューリンガー・ローストブラートヴルスト

テューリンガー・ローストブラートヴルストは数百年の歴史を持つテューリンゲン産のBratwurst / ブラートヴルスト(焼きソーセージ)で、ドイツではブラートヴルストのスペシャリティーとして、Nürnberger Rostbratwurst / ニュルンベルガー・ローストブラートヴルストと並び人気のあるソーセージです。長さは15〜20cmほど、直径1.5cm前後のスパイスのきいたソーセージで、インビス・スタンドで焼いたものをそのままほおばったり、あるいはブロートヒェン(パン)にはさんでお昼に食べたり、グリル・パーティーで炭火焼きにしたりと、いろいろなシーンに登場します。

その歴史は古く、文献の中では1400年代にはすでにこのテューリンゲンの地でソーセージが作られていたと言われていますが、現存する最も古いテューリンガー・ローストブラートヴルストの製造方法は1600年代初頭に書かれたものとのことです。テューリンゲン州の中でも地方や地域によってその作り方には違いがあり、仔牛あるいは牛の挽肉を混ぜるものもあります。一般的には細かく挽いた豚の挽肉のみを使用し、この挽肉に塩、胡椒、キャラウェイシード、マジョラムそしてにんにくを加え混ぜ合わせて、腸詰にします。このスパイスの調合具合がそれぞれの地方・地域の特徴ある味となるわけです。またテューリンガー・ローストブラートヴルストはEUの地理的表示保護制度に認定されています。

Mutzbraten / ムッツブラーテン

Mutz / ムッツとはテューリンゲン州東部、アルテンブルク近郊の地方で使われている「尾のない動物」を意味することばで、ここでは「豚」を意味しています。ムッツ・ブラーテンは豚の肩肉あるいは首肉を太い金串にさして、シラカバ材あるいは木炭でグリル焼きにした郷土料理です。その作り方は、こぶしぐらいの大きさに切った豚肉に塩、胡椒、マジョラムそしてタイムを良くすり込み、Senf / ゼンフ(カラシ)を塗り、油をかけて肉になじませます。これをボールに入れ、黒ビールを肉の上から注ぎ、さらに皮をむいたニンニクと玉ネギを加えます。これを冷蔵庫の中で少なくとも半日以上漬け込み、肉に良く味がしみ込んだ所で、肉の水気をふき取り、金串にさして遠火で焼くか、あるいはグリルの網の上にステーキ用のフライパンを置きその中で約1時間半じっくり焼いて出来上がりです。ザワークラウトを付け合せに供する、グリル料理の一品です。

Wild / ヴィルト

Wild / ヴィルトは野生の禽獣類(ジビエ:仏)の総称です。テューリンゲン州はそのほぼ3分の1、約53万ヘクタールが森であることからドイツ国内でも歴史ある狩猟地域の一つとなっています。生息している野生動物の種類は地域ごとに変わってきますが、主なものにReh / レー(シカ)、とくにRotwild / ロート・ヴィルト(アカシカ)、Damwild / ダム・ヴィルト(キジカ)など、さらにKaninchen / カニンヒェン(野ウサギ)、Fasan / ファザーン(キジ)、Ente / エンテ(カモ)などがあります。

ヴィルトの肉を使った料理にはRehbraten / レー・ブラーテン(鹿肉のロースト)、Rehgulasch / レー・グラッシュ(鹿肉のグラッシュ)等様々で、その調理法もそれぞれの素材の味を生かした料理に仕上がるように多岐にわたっています。

Gemüse -野菜-
2004年度におけるテューリンゲン州での主要な路地物野菜の総作付面積は1,623ヘクタールで、総収穫量は50,106トンでした。(統計出典:テューリンゲン州統計局) 州内の主な野菜生産地の中では、州都エアフルト近郊の一帯でBlumenkohl / ブルーメンコール(カリフラワー)、Kohlrabi / コールラビ、Broccoli / ブロッコリー、Weisskohl / ヴァイスコール(キャベツ)、Wirsing / ヴィルジィング(サボイ = ちりめんキャベツ)などが、またエアフルトから北西へ55kmほどに位置するMühlhausen / ミュルハウゼン一帯ではキュウリ、特にGewürzgurken / ゲヴュルツ・グルケン(酢漬けキュウリ)に加工されるものが特産品になっています。またテューリンゲン州はバイエルン州に次ぐ薬草、香草の産地にもなっています。

Zwiebel / ツヴィーベル(玉ネギ)

ドイツ国内での玉ネギ(路地物)の収穫量は2004年度で約42.6万トン、その他に年間約30万トンを近隣諸国から輸入しています。テューリンゲン州での玉ネギの収穫量は7,500トンと、数字的には決して多いものではありませんが、Thüringer Becken / テューリンガー・ベッケン(テューリンゲン盆地)で収穫される玉ネギは良質のものとして有名です。(統計出典:ZMP、ドイツ連邦統計局)ワイマールでは毎年10月第2週目の週末にZwiebelmarkt / ツヴィーベル・マルクト(玉ネギ市)が開催され、30万人以上の人が訪れ賑わいます。ツヴィーベル・クーヘン(オニオン・ケーキ)やツヴィーベル・ズッペ(オニオン・ス−プ)などいろいろなツヴィーベルの料理が屋台で提供され、訪れる人をお腹の中から満足させてくれます。またZwiebelzoepfen / ツヴィーベル・ツォプフェンと呼ばれる、玉ネギをワラの芯に縦に数列編み込み、数珠つなぎにしたものが売られ、これを買い求める人で市は熱気につつまれます。

Thüringer Klöße / テューリンガー・クローセ

バイエルン州でSemmelknödel / ゼンメル・クヌーデルをご紹介しましたが、ドイツではKartoffel / カルトッフェル(ジャガイモ)やBrötchen / ブロートヒェン(パン)を使って団子の形に調理したものを、肉料理のつけ合わせとして好んで食します。この「団子」は地方や地域によって様々な作り方があり、また呼び方も地方や地域、場合によってはその使用する食材によってKnödel / クヌーデル、Klöße / クローセ、Kloß / クロースあるいはKlopse / クロプセ等いろいろあります。Thüringer Klöße / テューリンガー・クローセはここテューリンゲン地方を代表する料理の一つで、ジャガイモを調理した団子のことです。作り方はいたってシンプルです。ジャガイモは皮をむき生のものをすりおろし、しっかりと水分をしぼります。すりおろすジャガイモは用意した全量の2/3 〜 3/4量です。そして残り1/3 〜 1/4量のジャガイモは茹でてからつぶしてマッシュポテトにします。この両方を混ぜ合わせ、中心に角切りにしてバターで焼いたパンを詰め、テニスボールほどの大きさに丸めます。湯の中で弱火で静かに茹でて出来上がりです。テューリンガー・クローセはこの地方では日曜日の肉料理の付け合せとしてよく食されており、メインの肉料理よりも大事だと言われるほどです。クローセを食べない日曜日は日曜日ではないと言う人も多い、誰からも愛されている伝統料理の一つです。

Käse -チーズ-
Altenburger Ziegenkäse / アルテンブルガー・ツィーゲンケーゼ

Ziege(ツィーゲ)はドイツ語で山羊のことで、Ziegenkäse / ツィーゲン・ケーゼは「山羊のチーズ」という意味です。ただしこのアルテンブルガー・ツィーゲンケーゼは牛乳とヤギ乳を混ぜて作られます。アルテンブルクはテューリンゲン州の東側、隣のザクセン州との州境近くにある歴史ある小さな町です。この町とその隣の地域であるザクセン州のライプツィヒ近郊でこのチーズは19世紀中頃から作られてきました。アルテンブルガー・ツィーゲンケーゼはEUの原産地名称保護制度に認定されており、この2つの地域でのみ作られたツィーゲンケーゼにこの「アルテンブルガー」の名称を使うことが許されています。マイルドでほんのりとスパイシーなドイツチーズのスペシャリティーの一品で、そのまま切って食べるだけでなく、サラダや料理にも幅広く使われるチーズです。

Kuchen -ケーキ-
Blechkuchen / ブレッヒクーヘン

ドイツ中部の2州、テューリンゲン州とザクセン州はお菓子の宝箱と表現しても決して過言ではないほど、多種多様なお菓子を楽しむことのできる土地です。ここテューリンゲンの伝統的なクーヘン(ケーキ)はBlechkuchen / ブレッヒクーヘンと呼ばれる種類のケーキです。Blech / ブレッヒとは一般的には金属製の板のことを、特にブリキの板のことを言いますが、料理用語では天板のこと、Backblech / バックブレッヒ、「オーブンに使用する板」のことを意味します。

ブレッヒクーヘンとはタルト型を使わず、この天板にケーキ生地を伸ばし入れ、四角い長方形の形に焼き上げたケーキの総称です。

丸型のケーキもこの四角いブレッヒクーヘンも、ドイツ全国どこでも、誰からも好んで食されており、ブレッヒクーヘンのスペシャリティーを持つ地方も多くあります。ただしヴュルテンベルク地方やラインラント地方などはフランスからの影響もあり、ケーキと言うと丸いタルト型のものが主流となっていますが、ここテューリンゲン地方では伝統的にこのブレッヒクーヘンが主流で、現在でもKonditorei / コンディトライ(ケーキ屋)やBäckerei / ベッカライ(ベーカリー)ではこの四角いケーキしか販売していないところもあるほどです。

さてこのブレッヒクーヘンには数多くの種類があり、生地も酵母を使ったパン生地、あるいはパイ生地、またスポンジ生地など様々です。代表的なものにButterkuchen / ブッタークーヘン(バターケーキ)、Streuselkuchen / シュトロイゼルクーヘン(生地の上一面にクッキー種をポロポロのそぼろ状にしたものをのせて焼いたケーキ)、Bienenstich / ビーネンシュティヒ(カスタードクリームフィリングのケーキ)、Zwetschenkuchen / ツヴェッチェンクーヘン(プラムケーキ)、Mohnkuchen / モーンクーヘン(ケシの実の入ったケーキ)、Zwiebelkuchen / ツヴィーベルクーヘン(オニオンケーキ)等、そしてテューリンゲン地方の伝統的なブレッヒクーヘンの一つである、Rupfkuchen / ルプフクーヘン(数種類の秋の果物を生地にのせ、さらにその上に小さく平たく伸ばしたメレンゲをいくつも置いて焼いたもの)などがあります。その種類と名称は使う食材によって変わってきますので、その数の豊富さはご想像いただけることでしょう。またこの地方でのブレッヒクーヘンの特徴は生クリームやサワークリームをふんだんに使う点にあり、生地とクリームとそして果物などの具材が口の中で一体化する味は、絶妙なハーモニーを演出します。

Sachsen -ザクセン州-
さて、テューリンゲン州の東隣に位置するのがSachsen / ザクセン州(18,414km2:ドイツ16州中10位)で、その人口は2004年12月現で約430万人となっています。

州都はライプツィヒで人口約50万人を有する州内第一の都市です。ザクセン州はドレスデン、ケムニッツ、ライプツィヒの3つの行政地域に分けられ、その中をさらに22の郡と郡に属さない7つの市に分けられています。州都ライプツィヒは学術の都としてゲーテやニーチェをはじめ多くの文人・知識人をその大学から輩出、さらに音楽の分野ではバッハをはじめ、ヴァーグナーやシューマンが活躍した町としても有名です。

ライプツィヒからさらに東へ進むとエルベ川のほとりにDresden / ドレスデンがあります。「Elbflorenz / エルプ・フロレンツ(エルベ川ほとりのフィレンツェ)」、あるいは「Florenz des Nordens / フロレンツ・デス・ノルデンス(北のフィレンツェ)」と呼ばれる優雅で美しい古都ですが、終戦前の1945年2月に猛爆撃をうけ一夜にしてほぼ壊滅状態になってしまった悲惨な過去を持つ町です。現在では当時の歴史的建造物も再建され、以前の町の姿を取り戻し、ドイツ国内のみならず、海外からも多くの観光客が訪れています。また紀元前10世紀までにもその歴史がさかのぼれると言われる古都であり、また陶磁器で世界的に有名な町Meißen / マイセンはドレスデンから北へ20kmほどの所にあります。

ザクセン州の料理文化は、それぞれの地方・地域が独特のオリジナリティーを持つ料理を伝統的に受け継いできたもので、地方色豊かな料理が特徴となっています。

Getränke -飲料-
Bier / ビール

ドイツ中部の州ではビールの消費量が多いお話しはすでにいたしましたが、ザクセン州での一人当たりのビール消費量は2002年度で168リットルという数字が出ています。当時ドイツ全体での一人当たりの消費量が121リットルでしたので、一人当たり平均で40リットル以上他の州よりビールを多く飲んだいうことになります。ザクセン州では2004年度で約83万キロリッターのビールが55の醸造所で醸造されました。この総醸造量の約78%近くはピルスタイプのビールが占めていますが、エキスポートヴァイツェン、シュヴァルツビア(黒ビール)等、様々な種類のビールが約200の銘柄で提供されています。(統計出典:Sächsischer Brauerbund e.V.)

Gemüse -野菜-
Leipziger Allerlei / ライプツィガー・アラライ

直訳をすると「ライプツィヒのあらゆるもの」となるライプツィガー・アラライはいろいろな種類の野菜を茹でたライプツィヒの名物料理です。野菜本来の味を楽しむザクセン州を代表する料理で、一般的には付け合せとして供されます。このライプツィガー・アラライの主な材料は、Morchel / モルヒェルと呼ばれる「アミガサタケ」と新鮮な季節の野菜です。ただし昔ながらの伝統的なライプツィガー・アラライにはFlusskrebs / フルス・クレプス(ザリガニ)が入っているのが特徴ですが、現在ではザリガニは好みで入れたり、入れなかったり、また代わりにエビを入れたりとその地方や家庭によって変わってきます。

ニンジン、エンドウ豆やインゲン豆、玉ネギ、そしてホワイトアスパラガス、カリフラワーあるいはコールラビ等を大き目に切り、順に茹でていきます。野菜が茹で上がったら、アミガサタケを茹でます。ザリガニを入れる場合は、茹で、身を殻から出し野菜と一緒に皿に盛り、殻は脇に飾ります。バター、あるいはKrebsbutter / クレプス・ブッター(カニバター:バターと蟹殻を細かく挽いて混ぜて作ったもの)を、上からかけて供します。ただしバターの変わりにホワイトソースを用いたり、炒めたパン粉を上からかけたりと、その味付け方法もバリエーションに富んでいます。

Süssigkeit -菓子-
ザクセン州はドイツの「菓子処」と言われるほど、クーヘン(ケーキ)や焼き菓子の種類が豊富な地方です。これは17世紀中頃にヨーロッパへ渡ってきたコーヒーがその後その文化をヨーロッパの町々で花開かせたことに起因しており、ここザクセンの地でもコーヒーが好んで飲まれるようになりました。そのコーヒーに合う「甘味」として様々な種類の菓子が作られ発展してきたわけです。ザクセン州における菓子はどれをとってもスペシャリティーといえるほど、オリジナリティー溢れるものばかりです。Eierschecke / アイアーシェッケ(クワーク(カード)クリームとバニラのクリームを2層に重ねて焼いたブレッヒクーヘン)、Leipziger Lerchen / ライプツィガー・レルヒェン(カップケーキに似た焼き菓子)、Meißner Fummel / マイスナー・フムメル(1700年代中頃からある、焼き菓子でEUの地理的表示保護制度に認定されています)、Dresdner Dominosteine / ドレスナー・ドミノシュタイネ(チョコレートコーティングした小さい焼き菓子、中は3層に分かれています)等などザクセン州の中でも、それぞれの地方を代表するお菓子があります。

Dresdner Stollen / ドレスナーシュトレン

ドイツ国内のみならず世界中にその名を馳せているドイツを代表する菓子がStollen / シュトレンです。これは幼子キリストがおくるみに包まれた姿を表していると言われ、クリスマスには欠かせない焼き菓子で、Christstollen / クリストシュトレン、あるいはWeihnachtsstollen / ヴァイナハトシュトレン(クリスマスシュトレンの意)とも呼ばれています。その歴史は古く1300年代前半ザクセン州で生まれたとされており、ドレスデンでのシュトレンの歴史は1400年に始まったと言われています。この長い歴史を持つシュトレンはクリスマス近く、アドヴェントなると、ドイツ全国のベーカリーやケーキ屋のショーウィンドーを華やかにします。またクリスマスマーケット(クリスマス市)ではシュトレン販売の屋台はいつも多くの買い物客でにぎわっています。もちろん自宅でクリスマスにシュトレンを焼く家庭も多く、自家用だけでなく友人へのプレゼントにしても喜ばれています。現在シュトレンのバリエーションは豊富で、バター風味のきいたものや、マジパンがはいったもの、クワークが入ったものなど様々です。

Quarkkeulchen / クワークコイルヒェン

Quark / クワークはカードのことでドイツでは大変ポピュラーな乳製品です。そしてKeulchen / コイルヒェンはここでは「平たくして焼いた菓子」という意味を持っています。クワーク・コイルヒェンはザクセン州のデザートのスペシャリティーです。ジャガイモをすりおろしたものとクワーク、卵、小麦粉を混ぜ、砂糖、シナモン、バニラシュガー、レモンの皮をおろしたもので味をつけます。また作り方によってはアーモンドを細かくしたもの、あるいは干しぶどうを入れるものもあります。混ぜ合わせた生地を平たい楕円形に丸め、バターを溶かしたフライパンで焼きあげて完成です。砂糖あるいはシナモンシュガーを上からかけて供します。付け合せとしてアップルムースが一番よく登場しますが、バニラソースや生クリーム等も使われます。子供だけでなく、大人にも人気のデザートの一品です。

出発
今回はドイツ中ほどに位置する2つの州をご案内いたしました。お菓子のスペシャリティーの多い地方でしたが、残念ながらほんの一部のお菓子についてしかご紹介できませんでした。

今回の「ドイツ料理のレシピ」のコーナーではザクセン風のケシの実の入ったケーキをご紹介しております。冷たくして食べるケーキです。是非一度お試しください。

さて、次回はドイツ南部に戻りまして、バーデン・ヴュルテンベルク州とヘッセン州をご案内する予定です。そしてこの2州のご紹介でこの「食の旅」の最終行程とさせていただきます。それでは次の列車の出発時刻まで、しばらくの間ご休憩ください。

参照