ドイツの食材
パン 2

パン
ドイツ国内での1人当たりのパンと小型パンの年間平均消費量は約85kgにおよぶと言われるほどドイツではパンが好んで食されています。これはひとえに、パンの種類が豊富で、いろいろな種類のパンを飽きることなく変化をもって食生活の中に取り入れられることに他ありません。小麦粉だけでなく、ライ麦粉やその他の穀粒粉を使うことによって、300種にものぼるパンとその数およそ1200種あるとされるバラエティーに富んだ小型パンが作られ、毎日の食生活を嗜好面と栄養面の両面から豊かにしています。

ドイツ人はBrotzeit / ブロート・ツァイト=「パンの時間」が一日の中で一番楽しい時間だと良く言います。これは文字通り、パンを食べる時間のことで、学校や職場での休憩の時間に、あるいは夕べのくつろいだ時間に、また休日のピクニックやハイキングの小休止に、そしてビアガーデンなどで親しい友人たちと気楽にビール片手に、パンをおやつや軽食として、あるいは昼食などとして楽しむ時間のことを言います。ドイツではそれぞれの時、場所、機会にマッチしたパンを、また個人の好みのパンをそのバラエティー豊富な種類の中から選び、いろいろな食材と組み合わせて楽しんでいます。

今回は、ドイツパンの世界を皆様とご一緒にのぞいてみましょう。ドイツでのパンの食べ方を一日の時間を追ってご紹介します。是非ブロート・ツァイトをお楽しみ下さい。

ドイツパンのいろいろ
まずはこれから登場しますドイツパンを簡単にご紹介しましょう。

Toastbrot / トーストブロート(トーストパン)
小麦パンあるいはライ麦粉がミックスされたミックス小麦パン、小麦全粒粉パンが中心のトースト用のパンです。現在日本で一般的にスーパーやベーカリーで販売されているトーストパン(食パン)より小型で、切った面はほぼ正方形です。

Graubrot / グラオ(=グレー)ブロートは文字通りグレーの色をしたパンのことで、Mischbrot / ミッシュブロート=ミックスパンのことです。サワー・ドゥー(サワー種)あるいはイーストを使って焼かれる小麦粉とライ麦粉のミックスパンは、それぞれの地方・地域、またベーカリーによって、さらにはパンの特徴などによって、いろいろな名称で呼ばれています。例えばLandbrot / ラントブロート、Bauernbrot / バウアンブロートなどもグラオブロートの仲間です。

Brötchen / ブレートヒェン
ブレートヒェン(小型パン)はいろいろな形のものがありますので、お好みのものをお選びください。

Weissbrot / ヴァイスブロートとは白パンのことで、小麦パン=ヴァイツェンブロートのことをいいます。形もローフ型のものや、丸型のものなど多種あります。中をくり抜いて器状にする場合は丸型のものを、トンネル状にくり抜く場合は長めのローフ型のものを使います。

この他にも「ロッゲンブロート=ライ麦パン」、「ロッゲンミッシュブロート=ミックスライ麦パン」、「フォルコルンブロート=全粒粉パン」、「プンパニッケル」等が登場します。

パンを楽しむアイディア
ドイツではパンを伝統的な食べ方から、斬新な食べ方まで、いろいな方法で食しています。パンを使ってスープ(ヘッセン風パンのスープ)やケーキ(赤ワインとチェリーのしっとりケーキ)などの料理を作ったりもします。また誰からも愛されているサンドイッチやオープンサンドにいたっては数ぞえきれないほどのバリエーションがあり、飽きることなくパンを楽しむことができます。これはドイツパンの持つ味を引き出す脇役としてバターやいろいろなジャム、ママレード、そしてディップ類やペースト類が勢揃いし、相性の良い様々なハム、ソーセージ、そしてチーズが共演者として最高の舞台を演出しているからなのです。ドイツパンの世界は奥深く無限に広がっています。

Frühstück ・朝食のアイディア :
ドイツの典型的な朝はブレートヒェン、トーストパンあるいはミックスライ麦パンなど好みのパンに、バター、ジャム、ママレード、ハチミツ、ゆで卵、さらには種類豊富なチーズやハム・ソーセージ、ペースト類などを添えて食べることからはじまります。

Bunte Frühstückseier / カラフル・モーニングエッグ
材料(4人分):ミックスライ麦パン、ゴーダチーズ40g、卵6個、ハム2種50gずつ、ミニトマト4個、クレス適量、塩
作り方:ボールに卵2個を割り溶き、グリーダーでおろしたチーズ、細かくみじん切りにしたクレスを混ぜ合わせ塩で味を整えます。これを深めの耐熱カップ4個に分け入れます。それぞれのカップにさらに卵1個ずつを静かに割り入れ蓋をして蒸し器で約20分程弱火で蒸します。蒸し上がったら、ハムとミニトマトを添えて、ミックスライ麦パンと一緒に召し上がってください。(クレスはガーデンクレスともよばれている、クレソンと同じアブラナ科の植物です。)

Pausenbrot / パウゼンブロートのアイディア:
ドイツ語でPause / パウゼとは「休憩、あるいは中休み」、また学校や職場では「休み時間」と言う意味で、パウゼンブロートとはその休憩時間に食べるパンのことを言います。家庭で、好みのパンにチーズやハム、ソーセージなどの食材をはさんで作り、持って出かけることが一般的ですが、ベーカリーやインビス・スタンドなどで出来上がったものを買うこともできます。どちらにしても、持ち運びが簡単で、食べやすいようにサンドイッチになっているものが中心です。ではどのようなものがパウゼンブロートになるのかアイディアを見てみましょう。
写真右から:1,2,3,4となります。

1:Würstchen-Doppeldecker / ヴュルストヒェン・サンド(ソーセージサンド)
材料(1人分):ミックスライ麦パン2枚、バター、レタスあるいはサラダ菜、カクテルウインナー3個、マスタード
作り方:ミックスライ麦パンにバターをぬっておきます。ここにレタスあるいはサラダ菜と食べやすい大きさに切ったカクテルウインナーをのせ、マスタード少々を塗りパンではさみます。

2:Firschkäse-Brot / フレッシュチーズ・パン
材料(1人分):フォルコルンブロート(全粒粉パン)1枚、フレッシュチーズ50g、生クリーム大さじ1、板チョコ(薄く小さいもの)3枚、ブレートヒェン1/2個(横半分に切った上半分)
作り方:フレッシュチーズと生クリームを良く混ぜ合わせ、フォルコルンブロートとブレートヒェンにぬります。フォルコルンブロートに板チョコをのせ、ブレートヒェンではさんで出来上がりです。

3:Grünes Salami-Käse-Brot / グリーン・サラミチーズパン
材料(1人分):グラオブロート2枚、バター、生食用ホウレン草6枚、サラミ3枚、アルゴイ産エメンタールチーズ1切れ
作り方:グラオブロート2枚にバターをぬります。片側の1枚に生食用ホウレン草、さらにその上にサラミとチーズをのせて、もう1枚でサンドイッチにします。

4:Apfel-Nuss-Brötchen / リンゴとクルミのブレートヒェンサンド
材料(1人分):ブレートヒェン1個、バター、リンゴ1/2個、クルミ4個(1/2個分x4)、レモン汁少々
作り方:ブレートヒェンは横半分に切り、それぞれの面にバターをぬります。洗ったリンゴは皮付きのまま薄く輪切りにしてレモン汁を少々かけておきます。パンにリンゴの輪切りとクルミをはさみ出来上がりです。

Mittagessen / 昼食のアイディア:
ドイツでの昼食は一般的には一日の中で中心となる食事で、調理された温かいものを、多くの場合肉類がメイン料理の食事を摂ります。しかし、今日では自宅と職場が離れていて昼食に戻ってこられないなど、家族全員が昼食に揃わないといった家庭も多く、昼食は職場や出先ですませ、温かいものは家族が揃って夕食にという家庭が大変増えています。

Toastbrot mit Hühnerleber / 鶏レバーのトースト
材料(2人分):トーストパン2枚、鶏レバー150g、玉ネギ(小玉)1/2個、バター、シェリー酒少々、塩、胡椒、タイム
作り方:パンはトーストにします。玉ネギはみじん切りにしてバターで透明になるまで炒め、ここへ鶏レバー、タイム、胡椒を加え、3分程火を通します。さらにシェリー酒を加え、しばらく蒸し煮にしてから最後に塩で味を整えます。これをトーストパンと一緒に供します。

Hackfleischbrote in der Eikruste / ミンチサンド・フレンチトースト風
材料(4人分):トーストパン16枚、挽肉400g、玉ネギ1個、塩、胡椒、マジョラム、牛乳大さじ5、薄力粉大さじ1、卵3個,バター、チーズ150g(おろしたもの)、香草(フレッシュなもの) 
作り方:フライパンにバターを溶かして、みじん切りにした玉ネギを透明になるまで炒めます。ここへ塩、胡椒、マジョラムで下味をつけた挽肉を加えさらに炒めます。薄力粉を牛乳で溶かし、挽肉の炒めたものに加えとろみをつけます。これをトーストパン8枚の上に均等に分け、ナイフ等で平らにのばし、残りのパンでサンドイッチにしておきます。深めの皿、あるいはバットに卵をとき入れサンドイッチの両面に卵液をつけます。バターを溶かしたフライパンでこのサンドイッチを両面キツネ色になるまで焼いて出来上がりです。チーズグリーダーでおろしたチーズとパセリ等お好みの香草をみじん切りにしたものを添えて召し上がって下さい。

Abendbrot / 夕食のアイディア:
ドイツ語で夕食を意味することばの一つにAbendbrot/アーベントブロート(夕べのパン)ということばがあります。昼食に温かい食事、一日の中心となる食事を摂ると、夕食には軽く消化の良いもので調理をしていない冷たいものを食べることになり、この場合、主にパンにチーズやハム、ソーセージ各種、そしてサラダ等を添えて食べることから、夕食のことを文字通りアーベントブロート = 夕べのパンと呼んでいるわけです。(ただし現在では「夕食」という広義でも使われる場合があります。)

Pikantes Käsebrot / ピリ辛チーズトースト
材料(1人分):ヴァイスブロート(白パン=小麦パン)1枚、チェスターチーズ50g、ベーコン1枚、卵黄1/2個分、白ワイン大さじ1、ホースラディッシュ小さじ1、マスタード小さじ1/2、バター、カイエンペッパー
作り方:深めの皿、あるいはボールの中で、チェスターチーズ(あるいはチェダーチーズで代用)のおろしたもの、卵黄、白ワイン、ホースラディッシュ、マスタード、カイエンペッパーをペースト状に練ります。バターをぬったパンにこのチーズペーストをぬり、グリラー(あるいはオーブントースター)でチーズが溶け、表面がキツネ色になるまで焼きます。フライパンでベーコンをカリっと焼き、チーズトーストの上にのせて供します。

Lenden-Schnitte / ポーク・ロインステーキのオープンサンド
材料(1人分):グラオブロート1枚、豚もも肉1枚(80g前後)、マッシュルーム(フレッシュなもの)50g、バター、マデラ酒(マデイラワイン)大さじ2、醤油小さじ1、塩、胡椒
作り方:フライパンにバターを溶かし、塩、胡椒をした豚もも肉を焼きます。ここへマッシュルームの薄切り、醤油、マデラ酒を加え、弱火にして10分程蒸し焼きにします。焼き上がった豚肉とマッシュルームをパンにのせてオープンサンドにして召し上がってください。

Party、Picknick / パーティー・ピクニックのアイディア:
1. Gefülltes Brot / パンのハーブチーズ詰め
材料(6人分):ヴァイスブロート(白パン=小麦パン)1本、バター75g、マスタード大さじ1、白ワイン125ml、香草(パセリ、チャイブ等)大さじ3、アルゴイ産エメンタールチーズ100g、ティルジッター100g、ハム100g、ピクルス1本
作り方:パンはローフ型のものを用意し、先端を切り落とし、中をトンネル状にくり抜きます。抜いたパンは白ワインに湿らしておきます。エメンタールチーズ、ティルジッター、ハム、ピクルスは小さい角切りに、香草は細かくみじん切りにして、これらをマスタード、室温に戻したバターと一緒に良く混ぜ合わせます。これをパンに詰めて出来上がりです。食べやすい大きさにパンを切り分けてどうぞ。一晩冷蔵庫で寝かすとさらに美味しくいただけます。
写真向かって右端が1、左手前が2

2. Obatzta-Pumpernickel / プンパニッケル・チーズサンド
材料(6人分):プンパニッケル12枚、カマンベールチーズ300g、バター大さじ2、玉ネギ2個(小〜中)、パプリカパウダー(辛口)少々、胡椒、キャラウェイシード
作り方:カマンベールチーズはフォークでつぶし滑らかにします。(この時、チーズの外皮が硬いようなら切り落としてください。) ここに室温に戻したバターとみじん切りにした玉ネギ、その他のスパイスを加え良く混ぜ合わせます。これを6枚のプンパーニッケルにぬり、残りのパンでサンドイッチにします。食べ易い大きさにパンをカットして召し上がって下さい。

Butterbrot ・ ブッターブロート
ドイツにはパンの食べ方の1つにButterbrot / ブッターブロートと総称されるものがあります。Butter / ブッターはドイツ語で「バター」と言う意味でブッターブロートは文字通り「バターをぬったパン」と言う意味です。ただし単にバターをぬっただけのシンプルなものを意味する場合と、バターのみならずチーズやハム、ソーセージ類などいろいろなものをパンにのせオープンサンドにしたものを言う場合と、その解釈についてはいくつか意見があります。ただし日常的には、後者のオープンサンドになったものをいうことがほとんどのようです。

普通ブッターブロートにはライ麦粉の入ったミッシュブロート=ミックスパンを使い、その上にのせる食材はハム、ソーセージ類、またはチーズ類が主となっています。もちろん食材のバリエーションが豊富なことは言うまでもありませんが、さらにパンにぬるバターにもいろいろなアレンジをほどこしたものが多くあります。最後にいくつかドイツパンに合うバターのアイディアをご紹介しましょう。

Champignon-Thymian-Butter /マッシュルームとタイムのバター
材料:マッシュルーム(フレッシュなもの)250g、エシャロット2個、発酵バター150g、タイム(フレッシュなもの)大さじ1、ナツメグ少々、カラフルペッパー大さじ1、塩
作り方:マッシュルームは汚れをフキン等で取り細かくみじん切りにします。またエシャロットも皮をむいて、細かくみじん切りにしておきます。フライパンに発酵バター25gを溶かし、エシャロットを透明になるまで炒め、ここへマッシュルームを加え水分がなくなるまで炒めます。タイム、塩、ナツメグで味を整え冷まします。残り125gの発酵バターを室温に戻し、炒めた野菜を加えよく混ぜ合わせ、冷蔵庫でしばらく冷やします。アルミホイルに、カラフルペッパーを粗く挽いたものを敷き、その上に先のバターをのせ、アルミホイルの端から巻いて筒状に形を整えます。冷蔵庫で1時間程冷やしてから1cm幅に切って供します。トーストにしたヴァイスブロート(白パン)やステーキ等に美味しいバターです。

Walnußbutter / クルミバター
材料:バター100g、クルミ50g、ハチミツ小さじ1、塩、胡椒、洋梨のブランデー(お好みで)小さじ1
作り方:バターを室温で柔らかくして、ボールの中でホイップします。ここへミキサーで細かくしたクルミを加え、ハチミツ、塩、胡椒で味を整えて出来上がりです。冷蔵庫で冷やし固めてからお使いください。キュウリとブルーチーズのサンドイッチにお薦めのバターです。

Gartenkräuter-Butter / ガーデンハーブ・バター
材料:香草100g(パセリ、チャイブ、ディル、エストラゴン等)、バター100g、サワークリーム100g、レモン汁1/2個分、塩、カイエンペッパー
作り方:香草類は水洗いした後、良く水気を切り、サワークリーム、レモン汁と一緒にミキサーに入れペースト状にします。これを室温で柔らかくしたバターと良くまぜ、塩とカイエンペッパーで味を整えて出来上がりです。全粒粉パンにぬってゆで卵等を添えてお試しください。

Camembert-Butter / カマンベールチーズ・バター
材料:カマンベールチーズ150g、バター100g、塩、パプリカパウダー(マイルド)少々
作り方:カマンベールチーズは外皮を切り落とし、フォークで押しつぶし滑らかにします。これに室温に戻したバターを加え良く練り混ぜます。塩少々とパプリカパウダーを加え味を整えます。ライ麦パンにぬり、ラディシュとチャイブを上にのせて召し上がってください。

簡単にできておいしいドイツパンの食べ方のアイディアをいろいろとご紹介してきました。きっとドイツパンの世界を垣間見ていただけたことと思います。「ドイツ料理のレシピ」コーナーでも、チーズトースト2種類とパンを使って作るケーキをご紹介しています。是非一度お試しください。

参照