ドイツでは、春夏が旬の果物について、どのような食べ方をしているのでしょうか?次に、ドイツのベリー類についてその食べ方もいくつか合わせてご紹介いたします。
エルトベーレン(Erdbeeren)
ドイツ語でイチゴのことをエルトベーレン(Erdbeeren)と言います。イチゴはバラ科に属する植物で、野生のイチゴは石器時代から既に食用とされていたようです。今日食べられているイチゴ(栽培種)の基になったものは、18世紀に入ってバージニアイチゴとチリイチゴの2つの品種を交配して作られたものです。その後現在に至るまでいろいろと品種改良が重ねられ、今では形や色、味の違った様々なイチゴの品種が栽培されています。因みにその品種は1,000種以上あると言われています。
上記の消費量の表からもお分かりのように、ドイツでは一年間に一人当たり平均2.2kgのイチゴが消費されており、イチゴはドイツでベリー界の女王としての位置を確固たるものとしています。水分を多く含んだ甘酸っぱい実は洋の東西を問わず誰からも好まれる果物というわけです。よく熟したイチゴはビタミンCを約20%含み、さらにミネラル分も含んだ健康に良い果物です。
日本ではイチゴはクリスマスや正月にその需要が高まることから、冬に多く見かけますが、本来は初夏の果物で、ドイツでは路地ものが5月下旬から収穫され、10月頃まで市場に出回ります。イチゴは収穫されてすぐに食するのが一番で、時間が経過するにしたがってその香りは薄れ、みずみずしさを失ってしまいます。
イチゴの食べ方はいろいろあり、シンプルに何もつけずにほおばったり、ちょっと砂糖をつけて甘くしたり、さらには生クリームや牛乳、プレーンヨーグルトと一緒に食します。ケーキに、サラダの具材に、さらにはイチゴシェイクやその他の飲み物にと、その応用範囲が広がります。またイチゴを使ったジャムは多くの家庭で毎朝のパンの友として定番です。ドイツでのイチゴのおしゃれな料理を次にご紹介しましょう。
ストロベリー・デザート
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材料(4人前):
イチゴ500g、砂糖大さじ5、レモン汁1個分、低脂肪ヨーグルト250g、牛乳大さじ6、メリッサ(西洋ヤマハッカ)少々
作り方:
イチゴは水洗いをして、水分を切り、ヘタを取り除き2等分に切ります。このイチゴをボウルに入れ、砂糖とレモンの絞り汁をかけて混ぜ合わせ、ラップをして冷蔵庫で30分ほど味をなじませます。ヨーグルトは牛乳と混ぜ合わせてやはり冷たくしておきます。イチゴを器に盛り、上からヨーグルトをお好みの分量かけて、メリッサの葉を飾って出来上がりです。メリッサの代わりにミントの葉を飾っても良いでしょう。低カロリーのデザートです。
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イチゴとチコリのサラダ(Chicorée mit Erdbeeren)
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材料(4人前):
チコリ(小さめのもの)4個、イチゴ500g、松の実50g、グリーンペッパー(粒)小さじ1、マヨネ−ズ大さじ2、砂糖小さじ3、レモン汁大さじ6
作り方:
チコリは洗い、株を外して苦味の強い株元を切り取り、端から食べやすい大きさに切ります。イチゴは水洗いをしてヘタをとり、縦に2等分にします。このイチゴとチコリ、松の実とグリーンペッパーを混ぜ合わせます。
マヨネーズ、砂糖、レモン汁を混ぜ、味を調えたドレッシングを作り、サラダにかけて出来上がりです。ビタミンがたくさんのサラダをお試しください。
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ヒムベーレン(Himbeeren)
ラズベリーはフランス語でフランボワーズ、ドイツ語ではヒムベーレン(Himbeeren)と呼ばれています。水分が多く甘味の強い果物で、その味や香りの良さに加え、食物繊維、カリウム、マグネシウム、マンガン等のミネラル分が豊富に含まれているのが特徴です。特に鉄分の含有量が他の果物よりかなり多いこと、また近頃、日本で話題のフラボノイドが含まれていることから、健康食材としても注目されています。
ドイツではラズベリーの旬は7月で、実が簡単に潰れてしまうため、1つ1つ丁寧に手摘みされています。また新鮮さが命の果物で、温度条件の調った倉庫で管理しても、収穫から数日しか持ちません。販売用の容器に入れても下側の実は、上にのった実の重さですぐに痛んでしまうと言う、販売・流通の上で取り扱いの難しい果物でもあります。
ドイツ国内のラズベリー収穫量は年間約7,200トンで、ノルトライン・ヴェストファーレン州の約2,300トンをトップに、ニーダーザクセン州、バイエルン州、バーデン・ヴュルテンベルク州などで生産されています(統計出典:ドイツ統計局)。
日持ちのしないラズベリーは買ってきたその日のうちに、そのままシンプルにあるいは生クリームを少し添えて食べるのがこの果物の持ち味を生かした食べ方として一般的ですが、熱を通してもその香りをあまり失わないことから、ケーキに加えて焼いたり、また砂糖を加えて甘く煮てラズベリーソースを作ることも多くあります。バニラアイスに熱いラズベリーソースをかけて食べる「ヴァニッレ・アイス・ミット・ハイセン・ヒンベアゾーセン」(Vanilleeis mit heissen Himbeersoßen)は、ドイツのカフェやレストランでは定番メニューと言える大変人気のあるメニューです。
ラズベリーとその他いろいろの種類の赤系のベリー類を一緒に煮て作るのが「ローテ・グリュツェ」(Rote Grütze)で、ドイツでは広く知られたデザートのスペシャリティーです。現在ではいくつもの食品メーカーがローテ・グリュツェを製造販売しており、瓶詰めのものがドイツ国内のみならず、世界各国で親しまれています。
この他、ラズベリーはジャムやジュースをはじめとして、リキュールにも加工されています。特に「ヒンベア・ガイスト」(Himbeergeist)と名づけられた無色透明のお酒は、サクランボのリキュール「キルシュ・ヴァッサー」(Kirsch Wasser)と並び、世界中にその愛好者を持っています。
ブロムベーレン(Brombeeren)
キイチゴの仲間のブラックベリーはドイツ語でブロムベーレン(Brombeeren)と言います。ブラックベリーは種類が非常に多く、ドイツ国内だけでも400種以上あると言われています。5月中旬から8月にかけて花が咲き、実は7月から収穫できます。ジューシーで程よい酸味のある実は、ダークレッド、黒紫、あるいは明るい黒色のものまであります。ただしラズベリーと同じようにつぶれやすい実で、さらに果実色が黒に近いことから日光を吸収しやすく、また収穫後の熟成が早いため、すぐ熟れ過ぎとなってしまいます。取り扱いの難しい果物として関係者泣かせです。
ブラックベリーにもまた健康に良い栄養素がいろいろ含まれています。特にプロビタミンAとビタミンEの含有量はベリー類の中ではトップに位置しています。さらにマグネシウムや鉄などのミネラル分も多く含みます。
ブラックベリーの食べ方はいろいろありますが、まずはシンプルに何もつけずそのまま、また牛乳、ヨーグルトあるいはアイスクリーム等を添えてもブラックベリーの味を損なうことなく美味しく楽しむことができます。ジャム、ジュース、ケーキの材料をはじめ、ルム・トプフ(Rumtopf)と呼ばれるフルーツをラム酒と砂糖で煮込んだコンポートも人気の一品です。さらにフルーツワインの一つ、ブロムベアワイン(Brombeerwein)やリキュールにも加工されます。
季節のフルーツサラダ(Obstsalat mit Beeren der Saison)
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材料(4人前):
ブルーベリー、ラズベリー、イチゴ、ヨハニスベーレン(黒実と赤実)、ブラックベリー各100gずつ、砂糖適量、オレンジの絞り汁適量、レモン汁適量
作り方:
ベリー類は水洗いをしてザルに上げ、よく水分を切ります。このうち1/3の分量を別に取り分けておき、残り2/3を漉し器あるいはザルで漉してつぶし、ソースを作ります。このソースに砂糖、オレンジの絞り汁、レモン汁を好みの分量入れて味を調え、はじめに取り分けておいたベリー類にかけて出来上がりです。フルーツサラダを冷たく冷やして、おやつにあるいはデザートにお召し上がりください。お好みで七分立ての生クリームを添えてお楽しみください。
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ハイデルベーレン(Heidelbeeren)
ハイデルベーレン(Heidelbeeren)の品種は100〜150あると言われ、その代表格としてドイツでポピュラーに栽培されているのがブラオベーレン(Braubeeren)です。ブラオとは青、ブルーと言う意味で文字通りブルーベリーです。よって一般的にハイデルベーレと言うとブルーベリーのことを意味しています。この実はイチゴやラズベリー等より少し長めに収穫後の保存が利くため、流通に耐えられる果物の一つです。また昨今、体に良い成分として注目されているポリフェノールの一種であるフラボノイドやプロシアニジンが含まれ、さらに食物繊維やアントシアニン(やはりポリフェノールの一種)の含有量が極めて高く、健康に良い果物として好まれています。
ドイツ国内では7月に入る頃から収穫が始まり、主に北部で栽培されています。因みに2006年度の総収穫量約6,100トンのおよそ70%がニーダーザクセン州で収穫されています(統計出典:ドイツ統計局)。
ブルーベリーはそのままで食べる他に、牛乳や生クリームと一緒に、あるいはプレーンのヨーグルトに混ぜたり、またケーキの生地に混ぜて一緒に焼いたりと、その食べ方のバリエーションもいろいろあります。
ヨハニスベーレン(Johannisbeeren)
ヨハニスベーレン(Johannisbeeren)はスグリの仲間に属し、英語ではカラントと呼ばれています。その種類は豊富で、実の色も赤、黒、淡い白色のものなどがあります。因みに赤スグリ(レッド・カラント)はドイツ語でローテ・ヨハニスベーレン(Rote Johannisbeeren)、黒スグリ(ブラック・カラント)はシュヴァルツ・ヨハニスベーレン(Schwarze Johannisbeeren)と呼ばれます。日本ではフランス語のカシスと言う名称がポピュラーですね。
ドイツ語のヨハニスベーレンの名前は、6月下旬に旬を迎えることから6月24日の聖ヨハネ祭(ヨハニス・ターク / Johannistag)にちなんでつけられたようです。この果物はベリー類の中では一番酸味が強いのが特徴です。
ドイツでは赤い実の赤ヨハニスベ−レンが最もポピュラーに市場に流通しています。直径1cmほどの大きさの実が房状に実り、食物繊維やカリウム、ビタミンC、ペクチンと言った栄養素を多く含んでいます。ただし栄養学の面から見ると、ベリー類の中でこれに勝るものはないと言っても良いほど、栄養素の含有量が高いのは黒ヨハニスベーレンで、特にビタミンCの含有量が豊富です。黒ヨハニスベーレンの実は少し大きめの粒で、あまり実が密着せず房状に実るのが普通です。このように健康に良い黒色の実ですが、酸味が強いうえに苦味があることから、あまり生食用としては好まれていません。よって多くがジャムやジュース、リキュールそしてフルーツワインなどに加工され、食べやすい、飲みやすい味となって消費者の前に登場しています。
白ヨハニスベーレンは市場に出回ることが極めて少ない果物で、その甘酸っぱい味はヨハニスベーレン愛好家から大変珍重されています。
ヨハニスベーレンは9月まで市場に出回り、家庭でジャムやジュースなどにして食べられる他に、ジビエ(野禽獣)、ラム肉あるいは鶏料理のソースに調理され、それぞれの肉の味を引き立たせる脇役として好まれています。
左写真:
七面鳥のフィレステーキ、ヨハニスベーレンのソース添え
シュタッヘルベーレン(Stachelbeeren)
ドイツ語でシュタッヘルベーレン(Stachelbeeren)と呼ばれるのはセイヨウスグリです。日本では英名からグーズベリー(もしくはグースベリー)とも呼ばれています。日本でも多少収穫されているとのことですが、残念ながら果物として店頭で見かけることはほとんどありません。
ヨーロッパではシュタッヘルベーレンは昔から栽培され食されてきました。ドイツでもドイツ在来の品種があるベリーです。収穫後にある程度の保存がきくことと、つぶれにくいことが特徴です。また、熟す前の緑のものはジャムやコンポート、ケーキなどに好んで使われています。
シュタッヘルベーレンには食物繊維をはじめとしてカリウムなどのミネラル分やプロビタミンA、ビタミンCが含まれており、ほどよい酸味を持っています。種類によって楕円形のものや丸いもの、また粒もサクランボほどに大きくなるものもあります。皮も滑らかなものから産毛が生えたようなもの、硬いものやわ柔らかいものなど品種によって様々です。ジューシーで柔らかい果肉はファンの多いベリーです。
今回はドイツの春夏が旬のベリー類をご紹介しました。次回はキルシュやサクランボを中心にお話いたします。「ドイツ料理のレシピ」コーナーではイチゴで作る美味しいお菓子を二品ご紹介しています。是非一度ご家庭でお試しください。
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