ドイツの食材
ドイツの焼き菓子 1

焼き菓子
手作りが最高!寒い季節はオーブンで焼くお菓子作りに最適な時季です。自家製の焼き立てのお菓子の甘い香りでお客様を迎えましょう。まだチャレンジしたことのない方でも、レシピと必要な道具を揃えれば、比較的簡単に作ることができます。今月はドイツ語圏南部の郷土菓子として有名なシュトルーデルのほか、パイ生地、シュー生地の作り方のコツをご紹介します。
シュトルーデル(Strudelteig)
シュトルーデルは、元々オーストリアの伝統菓子ですが、ドイツ語圏南部の地方で特に高い人気を誇り、今ではドイツを代表する焼き菓子の1つとなっています。

サクッとした生地はもろく、ホロホロと口の中で溶けます。紙のように薄く軽い層の中にフィリングが包まれています。そして甘い香りで、人々を虜にしてしまうのが、シュトルーデルです。リンゴとレーズンを巻き込んだアプフェルシュトルーデル(Apfelstrudel=リンゴのシュトルーデル)が特に有名です。この他、ドイツのフレッシュチーズ、クワルク(Quark)やキャベツとひき肉を巻いたものなど、さまざまなバリエーションがあります。

ドイツでは冷凍のシュトルーデル生地も市販されていますが、シュトルーデルの生地を作るのはそれほど難しくありません。欠かせないのは、広いスペースだけです。

生地を作りましょう

基本材料は小麦粉、水(卵を使うこともある)、少量の油脂です。もろくサクサクした歯ざわりという点では、パイやクッキーに似ていますが、シュトルーデル生地にはバターを折り込んだり、練り込んだりせず、油脂は生地の表面に塗るだけです。まず粉と水をよくこねてから、丸くまとめ、サラダオイルか溶かしバターを表面に刷毛で塗ります。そして室温で30 分以上寝かせます。寝かすことによって、シュトルーデル特有の粘りとこしのある生地になるのです。暖かめのところで寝かせてください。温度の低い場所では、生地を置いた台の上に温めた蓋や覆いなどを被せましょう。

生地を広げる

寝かした生地を薄く、薄く、向こう側が透けて見えるほど薄くのばします。清潔にした広いキッチンテーブルの上に生地を包めるような大きなキッチンクロスを広げて打ち粉をし、寝かせてよい状態になった丸い生地の固まりを載せ、麺棒でこれ以上できない、というほど薄くのばします(そのため、広いスペースが必要なのです)。

途中で、生地を破らないように気をつけます。表面にオイルか溶かしバターを刷毛で塗っておくとよいでしょう。両手で引っ張ってみても破れずにのびる状態がベストです。下に敷いたキッチンクロスが透けて見える状態ならOKです。

こうして薄くのばした生地を巻いてたくさんの層を作ると、サクサクした歯ざわりが醸し出されます。

フィリングを巻く

生地をのばしたら、すぐにその上にフィリングを載せます。このとき、左右と上下の端を少しあけておいてください。下に敷いたキッチンクロスを使って巻いていきます。クロスを一緒に巻き込まないように気を付けてください!

極薄の生地は乾きやすいので、作業は手早く行います。巻き終わりを下にして、両端も下に折り込み、オーブンプレートに斜めに置きます。誰かお手伝いしてくれる人がいれば良いのですが、一人でも大丈夫。プレートまで移動させるときも、クロスを利用します。クロスは一緒に焼かないでくださいね!焼く前にもう一度、生地の周囲に溶かしバターを刷毛で塗ります。こうすると表面がパリパリします。

また、シュトルーデルの生地は、必ずしも細長い形にする必要はありません。四角く切ったり、丸くしたり、あなたのアイデアでさまざまに工夫してみてください。

アラカルト

シュトルーデルは焼き立てでも、冷めてからでも美味しくいただけます。アツアツのリンゴのシュトルーデルと冷たいバニラアイスは最高のコンビネーションです。

この生地には砂糖が入りませんから、甘いお菓子以外にも応用できます。左の写真は、ネギ、ニンジン、エシャロットを炒め、茹でてつぶしたジャガイモとハムを加えて塩コショウとハーブで調味したフィリングを巻いたものです。ドイツらしい一品ですね。

今月の「ドイツ料理のレシピ」コーナーでは、家庭用の小型オーブンでも簡単に作れる、小さなシュトルーデルの作り方を紹介しています。併せてご覧ください。

ブレッタータイク(Blätterteig)
ドイツ語でブレッター(Blätter)とは、葉や紙など、薄片を意味しています。フランス語ではフィーユタージュと呼ばれるパイ生地で、何層にも折りたたんで重ねて作る、この菓子はフランス語でミルフィーユ(mille feuille)、つまり千の葉と呼ばれています。

サクサクとした食感、バターたっぷりのもろく薄い生地は舌の上でホロホロと崩れます。この美味の秘訣は、独特のプロセスにあります。小麦粉の生地とバターを何層にも折り重ねて高温で焼き上げると、まさに葉っぱのように薄い層になって膨れ上がるのです。

ブレッタータイクの生地はスーパーマーケットなどで冷凍が市販されています。これを利用するのも良いでしょう。しかし、焼き立てを頬張り、得も言われぬ至高の瞬間を味わうには自家製しかありません。やはり生地から自分で作ってみるのが一番です。さほど難しいわけではなく、成形せずに包丁で四角や三角に切れば、時間もあまりかかりません。それに何より、生地から自分で作るというところに、手作りの醍醐味があるのではないでしょうか。みんなから一目置かれること間違いなしです。

生地を作りましょう

ブレッタータイクの生地の材料は小麦粉、水、少量の塩とバターです。小麦粉とバターは1:1、水は粉1kgに対して500mlが基本配合です。ふるった粉と少量の塩に水を加えて練り、ひとまとめにして冷蔵庫で冷やします。生地を休ませている間にバターの用意をします。バターをサイコロ状に切り、小麦粉を適宜ふりかけ、練って四角形に形作ります。これもべとつくようなら冷蔵庫で冷やします。

作るときのポイントは「素早く、冷たく」です。

生地を冷蔵庫から出した後に、麺棒で長方形にのばします。のばした生地の中央に、生地よりも一回り小さな四角形にまとめたバターを置いて、生地でぴっちりと包み、麺棒で長方形にのばします。このとき大切なことは、生地とバターを密着させること、そしてバターがあまり固すぎないことです。長方形にのばしたら、生地の両側の三分の一をそれぞれ折り返して三つ折りにし、向きを変えてまたのばします。これを合計3回繰り返します。こうすることによって、バターと小麦粉の生地が薄い多層を形成するようになるのです。作業中にバターが柔らかくなりすぎて小麦粉の生地と混ざり合わないように、ときどき冷蔵庫に入れて冷やしながら作業します。

ブレッタータイクの生地は冷蔵庫で2〜3日、冷凍庫では2〜3ヶ月保存できます。ですから、作るときは少量でなく、多めに作って保存すると効率的です。

オーブンで焼く

冷えた生地を高温のオーブンで焼くと、焼成中にバターの中の水分が蒸発し、盛り上がって美しい層になります。サクサクした食感を出すために、高温かつ短時間で焼き上げます。焼き時間が短くて済むので、ブレッタータイクは、お客様がドアの前に到着してから焼いても十分、間に合います。

美味しく焼き上げるためのコツは、生地をきれいに薄くのばすことです。余った生地は絶対にこね直さないでください。せっかく作った葉のような層が壊れてしまいます。

アラカルト


ブレッタータイクはバターたっぷりの生地ですから、四角に切って焼き、粉砂糖をふりかけただけでも十分美味しくいただけますが、上左の写真のように生クリームとフルーツでデコレーションすると、ゴージャスなティータイムを演出できます。生クリームやチョコレートクリーム、フルーツを使った甘いデコレーションだけでなく、チーズやハム、ひき肉の詰め物をするなど、辛党用にも応用できます。

上中央の写真は、茹でたホウレンソウ、炒めたタマネギ、松の実を合わせたフィリングを包んだもの、右はドイツらしくソーセージ(フライッシュヴルスト=Fleischwurst)を包んだものです。どちらもランチにいいですね。また、四角く切るだけではなく、コルネ型で巻いたり、トルテ台に敷いてもよく、さまざまな形で楽しめます。ご自分のオリジナルを生みだしてみてはいかがでしょうか。

ブラントタイク(Brandteig)
ブラントタイク(Brandteig)はシュークリームの皮と言えばすぐお分かりになるでしょう。ドイツ語ではブラントマッセ(Brandmasse)とも呼ばれます。生地自体はとてもシンプルですが、作り方はちょっと変わっています。まず最初に材料(小麦粉、水、バター)に火を通して(アプブレンネン=abbrennen)から、卵を加え、オーブンで焼いたり、揚げたりするのです。 このため、火を通した生地=ブラントタイクと呼ばれるのです。最初に加熱することで、しっかりとした生地になり、これに卵を加えて短時間かつ高温で焼き上げると、ぷくっと膨れて中央は空洞になります。ドイツ語ではシュークリーム(フランス語)のことを空気袋(ヴィントボイテル=Windbeutel)と呼びます。ヴィントボイテルにはほら吹きという意味もあります。中が空っぽですからね。

生地を作りましょう

鍋に水を入れ、塩を少々加え、煮たてます。そこにバターを投入して溶かします。さらにふるった薄力粉を一気に加えて、よく練り合わせます。ガスの火は中火にし、生地がひとつにまとまるように力強く混ぜ、十分に火を通します。このときに生地を焦がさないように気をつけてください!

鍋底に白っぽい薄膜ができたら、それを目安として、生地を一気にボウルにあけ、荒熱を取ります。それから溶いた卵を数回に分けて加えます。このとき生地が熱すぎると卵が凝固してしまいますが、冷めてもいけません。生地がまだ熱いうちに加えてください。力を入れて生地を練っていくと、つやが出てねっとりとした状態になります。絞り出して焼くので、生地が柔らかくなりすぎないように加減を見ながら卵を加えます。

オーブンで焼く

この生地は作ったらすぐに焼きます。直径1cmぐらいの丸型か星形の絞り出し袋に生地を詰め、オーブンシートを敷いたプレートに、シュークリームの場合は、やや厚めに丸く絞り出し、エクレアの場合は棒状に絞り出します。そのほか、リング型などお好きな形に絞り出すこともできます。焼くと膨れますから、それを考慮して幾分間隔を置いて絞り出すようにしましょう。

オーブンはあらかじめ高温にしておきます。焼き時間は大きさにより異なりますが、前半は絶対にオーブンの蓋を開けたり、温度を下げないでください。ぷくっと膨らんだ独特の形を作るためです。シュークリームやエクレアのように中に詰め物をする場合は、ケーキクーラーの上で完全に冷ましてから、半分に切ります。完全に冷めてからでないとうまく切ることができません。

油で揚げても

ブラントタイクは油で揚げても美味しいお菓子になります。オーブンペーパーを小さく切って、その上に生地をリング状か、丸く絞り出し、高温に熱した油の中にそっと入れます。油の中で一度上下を返し、完全に火が通るまで、キツネ色に揚げます。油を切って、温かいうちに、または冷めてから粉糖をまぶすか、砂糖衣をかけていただきます。 中にジャムなどを詰めても美味しい一品になります。


アラカルト


ブラントタイクで作ったお菓子はもちろん焼き立てをいただくのがベストですが、中に詰め物をしない状態で冷凍保存することもできます。フィリングを詰める場合は、皮のパリパリした食感をなるべく失わないために、いただく直前にお好みのクリームやフルーツを中に詰めます。半分に切らずに、クリームを詰めた絞り出し袋を直接焼き上がった生地に突き刺して、クリームを注入するやり方もあります。

上右の写真のように、粉糖、砂糖のグラース、ク―べルチュールチョコレートやキャラメルを上からかけてデコレーションするのも素敵です。

小さく絞り出して焼いたブラントタイクに、野菜やハム、チーズなどを詰めると、可愛いオードブルになります。上左の写真は円形の枠の中に小さなブラントタイクを絞り出して焼き、イチゴやブルーベリーなどのベリー類のピューレで作ったババロアをはさんだものです。

またはちょっとおしゃれに、スワンの形にしてみてはいかがでしょう。生地は厚めの楕円形に絞り出します。別に、スワンの首用に、直径の小さい口金で長く引きのばしたS字型を絞り出します。これらは厚さが異なりますから、必ず別々に焼きます。焼き上がった後に、楕円型の方は上下半分に切ります。下半分にホイップクリームを詰め、上半分はさらに半分に切り、羽のように、載せます。首を差し込んで出来上がりです。

今月の「ドイツ料理のレシピ」コーナーでは、美味しいクリームを詰めたお洒落なシュークリームをご紹介しています。どうぞご覧ください。

参照