ドイツではコーヒータイムに、レーズンやオレンジピールなどのドライフルーツ、クルミ、アーモンドなどのナッツ類、またはシナモン、アニスなどの香辛料を入れた菓子パンをよく頂きます。
ヘフェ(Hefe=イースト)はパン種として昔から用いられてきました。かつてパン作りには、酵母菌のザワータイク(Sauerteig=酸味のある発酵生地)が使用され、作るのにかなりの時間を要していましたが、現在では市販のイーストを利用して手軽に作ることができます。
それでも、イーストを使った発酵生地のパン菓子は作るのに手間がかかるため、敬遠されがちです。しかし、失敗を恐れずにチャレンジしてみてはいかがでしょうか。うまく出来上がった時の喜びは格別です。
生イーストもドライイーストも冷蔵庫で保存できますから、まずイーストの扱いを学習し、時間に余裕のあるときにパン作りにチャレンジすることもできます。焼いている間に漂うパンの香りはこの上ないものです。さて、では作り方のコツを見ていきましょう。
生地を作りましょう
フォアタイク(Vorteig=発酵種)を作るには、生イーストを使用するのがベストですが、スピードアップしようとする場合は、ドライイーストでもよいでしょう。発酵種は次のように作ります。レシピにしたがった分量の水または牛乳を人肌程度に温め、そこに生イーストを砕いて砂糖を少量加えてかきまぜ、表面が少し泡だった状態になるまで、約15分間放置します。
この発酵種を小麦粉、砂糖、塩、バター、水などの材料に加えて、こねます。こねあがったら乾燥しないように生地に覆いをかけ、2倍程度に膨らむまで室温か、温かい所に放置します。その後、生地をガス抜きし、好みの形に成形して、二次発酵させ、オーブンで焼きます。
ドライイーストを用いれば最初の発酵を省略できるので、より手早くできます。ドライイーストの場合は小麦粉の中に混ぜ、その他の材料とともにこねます。以降は生イーストと同じプロセスです。
イーストのはたらきについて
さて、パン生地に不可欠なイーストはどんな役割を果たすのでしょうか? 薄茶色の生イーストの固まりには、菌の一種である、無数の小さなイースト細胞(Hefezellen)があります。イースト菌は一定の温度下で糖分と水分を添加すると活性化し、膨張します。このとき糖分が炭酸ガスとごくわずかのアルコールに変換され、イーストの発酵が始まるのです。このときたくさんの気泡が発生します。生地の中に混ぜ込まれた後、発酵はさらに進んで、生地を膨張させます。イーストがうまく発酵した生地の表面は滑らかで、絹のような手触りで、薄く広がります。
イースト菌は60℃以上の高温では死滅します。そのため、発酵プロセスやこねる際に、これ以上の温度にならないように注意してください。従って、高温のオーブンで焼成するとイースト菌は死滅してしまいます。
一方、低温になるとイースト菌は活動を停止するため、生地を冷蔵庫に入れて発酵を遅らせることができます。この特徴を利用して、夜、生地を作って冷蔵庫に入れておき、ゆっくりと発酵させてから、翌朝に焼きたてのパンを味わうということができます。但し、冷凍保存する場合は3ヶ月が限度と考えてください。
アラカルト
ドイツ人がよくコーヒータイムに頂くのは、砂糖やバターのたっぷり入ったブリオッシュ(Brioche)、ドライフルーツを入れた三つ編みパン(Hefezöpfe)、蜂蜜入りのビーネンスティック(Bienenstich)、ブッタークーヘン(Butterkuchen)などです。ピッツァもイースト生地を薄くのばして焼いたものです。トマトソースとチーズをのせたパリパリのピッツァは、もちろんドイツ人も大好きです。
下左の写真はチーズスティック(Käsestangen)。すりおろしたチーズを生地に加え、短冊型に切ってねじり、仕上げに黒ゴマをふります。右はローゼンクーヘン(Rosenkuchen)。オレンジ風味の生地にレーズンと芥子の実をフィリングにして巻き、1つの型に入れて焼いた菓子パンです。
今月の「ドイツ料理のレシピ」コーナーでは、ベルリーナーと呼ばれる、イースト生地を使ったジャム入りの丸い揚げ菓子をご紹介しています。どうぞお試しください。
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