ホップはアサ科のつる性の植物で、松かさのような形をしており、大きさは数センチ程度です。ドイツではホップの花を「緑の黄金」と呼びます。ホップには雌株と雄株がありますが、ビールの原材料として使われるのは雌株につく雌花の集まりの毯果(花のかたまり)だけです 。雄花があると雌花が受精してしまい、ビールの原料として欠かせない油分の組成が損なわれるため、ホップ畑からすべて取り除かれます。ホップは農産物のなかでも栽培管理が難しい品種と言われています。
ホップは古来から薬や野菜として珍重されてきました。昔はホップ以外の種々の薬草を使ってビールを醸造していたこともありましたが、1516年の「ビール純粋令」発布以来、ビールの原材料としてホップを使用することが義務付けられ、ホップが使われるようになってビールの品質も一段と向上しました。
ドイツ全体のホップ作付面積は約18,300ヘクタールにものぼり、これは世界全体のホップ作付面積のおよそ25%にあたります。ミュンヘンの北、バイエルン州のハラタウ(Hallertau)は世界最大のホップ生産地域で、作付面積はおよそ15,000ヘクタールと、ドイツ国内の80%以上がこの地域に集中しています。これに次ぐのがボーデン湖近くのテットナンク(Tettnang)の約1,600ヘクタールです。
ホップはビール造りに欠くことのできない重要な役割を果たします。ホップの第一の役割はビールに心地よい苦味を与えてくれることです。ホップを麦汁と一緒に煮沸することによって、ホップの中に含まれるアルファ酸が爽やかな苦味成分となります。苦味成分を抽出するために用いられるホップはビターホップと呼ばれ、現在、ドイツでは作付面積の約40%でアルファ酸を豊富に含むビターホップが作られています。
ホップのもう1つの重要な役割は、ビールに香りを与えることです。ホップに含まれる油分が、発酵・熟成の過程で生じるエステルなどの成分とともに、ビールのさまざまな微妙な香りを演出します。ビールに香りを与える目的で使用されるホップはアロマホップと呼ばれ、現在、作付面積の約60%を占めています。
さらに、ホップはビールの泡持ちをよくすることにも役立っています。ホップの苦味成分と、モルトから抽出されるタンパクが結合することで、ビールの泡持ちがよくなるのです。ですから、一般に苦いビールほど泡持ちがよいということになります。この他、ホップはビールの醸造工程中で、余分な蛋白質を凝固・分離してビールを清澄にしたり、雑菌の繁殖を抑え、食中毒菌や病原菌が増殖しにくくする役割も果たしています。
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